未成年との淫行の件で警察から出頭要請がありました

未成年との淫行で問われる罪と警察の出頭要請について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説します。

東京都品川区に住むAさんはSNSで知り合ったVさん(行為時16歳)に対して、品川区内のホテルで、現金3万円を渡した上で、Vさんと淫行しました。その後、数か月してAさんは警視庁大井警察署から出頭するよう要請されてしまいました。Aさんはどんな罪に問われるのか、出頭する必要があるのか確かめるため弁護士に相談することにしました。なお、AさんはVさんが「19歳」と言っていたことから、Vさんが18歳未満であること知らなかったと言っています。
(事実を基に作成したフィクションです。)

~未成年との性交渉で問われる罪~

Aさんが未成年淫行したことで問われる罪としては

① 淫行の罪
② 児童買春の罪

があります。

=淫行の罪=

淫行の罪は、各都道府県の青少年健全育成条例に規定されています。
条例によって淫行の罪が成立する要件は異なるものの、未成年(18歳未満の者)に対して

・淫行
・わいせつな行為

が禁止されていることは共通しているでしょう。
判例によれば「淫行」とは「広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきではなく、青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性行為類似行為」とされています。「性交類似行為」とは何を意味するのか明確な基準はありませんが、性交と同一視できるような口腔性交、肛門性交は性交類似行為に当たるでしょう。
また、性交類似行為に当たらなくても「わいせつな行為」に当たる可能性もあります。
そして、判例は

・威迫、欺罔、困惑などの手段を用いた性交又は性交類似行為
・青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為

淫行に当たるとしています。
「青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っている」かどうかは、

・行為者と青少年との年齢差
・行為者と青少年との関係性
・行為者と青少年とが知り合った経緯
・知り合ってから淫行に至るまでの経緯、動機
・淫行の内容、頻度
・交際ややり取りの内容

などを詳細に検討する必要があるでしょう。

淫行の罪の罰則は「2年以下の懲役又は100万円以下の罰金」とされていることが多いです。

=児童買春の罪=

児童買春の罪は、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下、法律といいます。)」の4条に規定されています。

(児童買春)
第四条 児童買春をした者は、五年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。

なお、児童買春の定義については法律2条2項に規定されています。

(定義)
第二条
1 (略)
2 児童買春とは、次の各号に掲げる者に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性 的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう。以下同じ。)をす ることをいう。
一 児童
二 児童に対する性交等の周旋をした者
三 児童の保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)又は児童をその支配下に置いている者

「対償」とは、児童に対して性交等をすることに対する反対給付としての経済的利益をいいます。
この利益となる原因は、贈与(お金、物を無償で与える)のみならず債務の免除(お金の支払いを免れる)も含みます。
反対給付とは、要は、対償と性交等とが対価関係にあることを意味します。つまり、対償によってVさんが性交等に応じた、という関係が必要です。

~警察の出頭要請~

警察の出頭要請は刑事訴訟法198条1項を根拠としています。

刑事訴訟法
(被疑者の出頭要求・取調べ)
第百九十八条
1 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があると認めるときは、被疑者の出頭を求め、これを取り調べることができる。

出頭要請呼ばれるものには、この刑事訴訟法198条1項の規定に基づき行われるものと、警察官職務執行法2条2項の規定に基づき、挙動不審者等に対し職務質問を行うため付近の警察署等に同行を求める場合がありますが、本件は前者の場合に当たります。

警察の出頭要請は、あくまで任意処分であり、対象者の意思に基づいて行われることを要しますから、拒否することはできます。
しかし、正当な理由なく警察の出頭要請に応じない、不出頭を繰り返す、ということになれば、それが「逃亡又は罪証隠滅のおそれ」の一つの微表として逮捕されることはあり得ます。

なお、逮捕の要件は、「逮捕の理由」と「逮捕の必要」に区分されます。
ここで、逮捕の必要とは、被疑者の逃亡、あるいは罪証隠滅等を防止するため、被疑者の身体の拘束を要することをいいます(刑事訴訟規則143条の3等)。
不出頭が数回に及ぶなど特段の事情が存在し、逃亡等のおそれがないとはいえないと判断されれば「逮捕の必要」があるとされ、逮捕される可能性もありますから注意が必要です。

~逮捕されたら弁護士と接見~

逮捕直後の接見は弁護士しか認められていません。弁護士と接見することにより、取り調べや等に対するアドバイスを受けられたり、今後の見通しなどについて知ることができます。また、私選弁護人として契約すれば、釈放に向けて早期に動き出してもらえます。万が一逮捕された場合は、弁護士と接見することをお勧めいたします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間受け付けております。

 

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