準強姦罪(準強制性交等罪)・準強制わいせつ罪

強姦罪,強制わいせつ罪は性犯罪の中でも刑が重い部類に属する犯罪です。各犯罪の詳細はそれぞれの解説項目で行っているため,ここでは準強姦罪,準強制わいせつ罪について解説を行います。

強姦罪,強制わいせつ罪は,いずれも「暴行又は脅迫」を手段として,性行為ないしわいせつ行為を行うところに共通点があります。

これに対して準強姦罪,準強制わいせつ罪は,「暴行又は脅迫」を手段としません。準強姦罪,準強制わいせつ罪は,「心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ,又は心神を喪失させ,若しくは抗拒不能にさせ」ることを要件としています。

心神喪失とは,精神的な障害によって正常な判断能力を失った状態を指します。抗拒不能とは,心理的又は物理的に抵抗ができない状態を指します。例えば,大量の飲酒によって酩酊している相手と性行為に及んだ場合,抗拒不能に乗じての性行為であるため,準強姦となります。また,知的障害を抱える被害者の胸を触ったことを心神喪失に乗じたわいせつ行為として,準強制わいせつ罪とした裁判例もあります。

準強姦罪,準強制わいせつ罪と書くと,強姦罪や強制わいせつ罪よりも刑が軽いようにも思えますが,それは間違いです。刑法は準強姦にあたる場合は強姦の例による,準強制わいせつにあたる場合は強制わいせつの例によると規定しているため,法律上の刑の重さは変わりません。

なお,準強姦罪という呼称は平成29年7月に改正刑法が施行される前までのものであり,現在は準強制性交等罪として規定されています(刑法178条2項)。準強制性交等罪は,性行為だけでなく新たに肛門性交,口腔性交も対象としています。それゆえ,肛門性交,口腔性交に及んだ場合,準強制わいせつ罪ではなく,準強制性交等罪によって刑事処分を受けることになります。肛門性交,口腔性交が含まれたことにより,女性だけでなく男性も被害者となり得ることも特徴です。

また,強姦罪が強制性交等罪に変更されたことに伴い,刑の重さも変わっています。強姦罪は「3年以上の」懲役に処すると規定されていましたが,強制性交等罪では「5年以上の」懲役に処すると規定されているため,刑は大幅に引き上げられています。先ほども説明したとおり,準強制性交等罪(準強姦罪)は強制性交等罪(強姦罪)と同じ刑の重さで処分されることになるため,準強制性交等罪も「5年以上の」懲役に処せられます。

執行猶予付き判決(有罪ではあるが,すぐには刑務所に収監されない判決)を得る条件は3年以下の懲役が言い渡される場合に限られるため,特別な減刑事情がない限り,準強制性交等罪に及んでしまうと,実刑判決(判決後,直ちに刑務所に収監される判決)を受けることになります。

以上のとおり,準強制性交等罪,準強制わいせつ罪は刑法改正の影響を受けています。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,刑事事件・少年事件を専門に扱う弁護士事務所として,改正刑法のもとでの実務運用にも経験,見識の深い弁護士によるサポートを行います。準強制性交等罪,準強制わいせつ罪でお悩みの方は,まずは一度ご相談ください。

 

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