強姦罪は性犯罪の中でも刑が重い犯罪です。「暴行又は脅迫(改正前刑法177条)」を用いて性交に及んだ場合に問われる罪であり,性行為に対する相手方の合意の有無で援交(児童買春の罪)や淫行(各自治体が定める青少年健全育成条例違反)とは区別されます。
強姦罪は近時の法改正によって,対象となる行為や刑の重さが変わっているため,ここでは重要な改正点を中心に説明を行います。
強姦罪という呼称は,改正前の刑法で定められていた罪に対するものです。
平成29年7月に改正刑法が施行されて以降は,強制性交等罪(刑法177条)という呼称になっています。「強制性交等」という呼称からも明らかなように,同罪に問われる行為は性交のみに限られません。刑法177条は肛門性交,口腔性交も対象としています。すなわち,性行為が要件となる強姦罪と異なり,強制性交等罪の場合は男性も被害者になり得るのです。刑法が改正される以前は,肛門性交,口腔性交は「強制わいせつ罪(改正前刑法176条)」に処せられる行為であったため,後に述べるとおり,刑は大幅に重くなっていることになります。
強制性交等罪と強姦罪の2つ目の違いは,刑の重さです。
強姦罪は「3年以上の」懲役に処すると規定されていました。刑事裁判で執行猶予付き判決(有罪ではあるけれども,すぐには刑務所に行かなくてもよいという判決)を得るためには,言渡された刑が3年以下である必要があります。すなわち,改正前の強姦罪の場合,起訴されて刑事裁判になったとしても,執行猶予になる余地があったことになります。
これに対して,強制性交等罪は「5年以上の」懲役に処せられます。つまり,特別の減刑事情がなければ,前科の有無に関わらず,実刑判決(判決言い渡しと同時に刑務所へ収監される判決)となるのです。先ほど説明した肛門性交,強制性交は,かつては強制わいせつ罪として「6月以上10年以下の」懲役となっていたため,強制性交等罪の対象とされたことで,刑が非常に重くなったことが分かると思います。
強制性交等罪を起こしてしまった場合,逮捕される可能性が非常に高く,刑事裁判になった場合は実刑判決のリスクも高いといえます。もっとも,弁護士を介して被害を受けた方に謝罪,弁償を尽くすことで,執行猶予付きの判決で終わる場合や,そもそも刑事裁判としない不起訴処分が下されることもあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,刑事事件・少年事件を専門に扱う経験を活かし,被害者との示談対応を始めとした弁護活動を行います。強制性交等罪を起こしてしまいお悩みの方は,まずは一度ご相談ください。