【報道解説】福岡市東区で女子高校生に対する不同意わいせつ事件で逮捕
女子高校生に対する不同意わいせつ罪の逮捕事案で自首が成立するための要件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道紹介】
令和6年11月に、福岡県福岡市東区の駐車場で知人の娘にあたる15歳(当時)の女子高校生にいきなりキスをしたり胸を揉んだりしたとして、警察は熊本県菊池市在住の男性(51歳、派遣社員)を、不同意わいせつ罪の疑いで逮捕した。
男性は、容疑を認めたうえで、「女の子を誘ったら『いつでも誘ってください』と言うので嬉しくなった」などと話しているとのこと。
警察によると、事件当日、男性は、女子生徒の父親と飲食店で酒を飲んでいて、父親の目を盗んで、迎えに来た女子生徒に対し犯行に及んだとみられている。
女子生徒から性被害を受けたことを聞いた父親が、警察に届け出て事件が発覚し、女子生徒への事情聴取や目撃者の証言などの捜査を経て、男性の逮捕に至った。
(令和7年2月10日に配信された「RKB毎日放送」より抜粋)
【不同意わいせつ罪の刑事処罰とは】
相手方の同意を得ることなく、わいせつ行為をした場合には、刑法の「不同意わいせつ罪」に当たるとして、「6月以上10年以下の拘禁刑」という法定刑の範囲で、刑事処罰を受けます。
さらには、相手方が16歳未満である場合には、たとえ相手方に同意があるケースであっても、不同意わいせつ罪が成立するとされています。
・刑法 176条3項(不同意わいせつ)
「十六歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。」
【自首の意義】
刑事犯罪を起こしてしまった場合には、被害者が警察に被害届を提出する前に、被害者との示談交渉をして被害者に許してもらうことによる解決や、警察への自首する等の対応が考えられます。
まずは、弁護士に被害者との示談交渉を依頼して、示談を成立させることで、刑事事件化を未然に防ぐことが重要となります。
他方で、被害者の名前や連絡先が分からない事情や、そもそも被害者側が被害に気付いていない事情がある事件であれば、警察への自首による解決も検討されます。
「自首」とは、「犯人が、捜査機関に発覚する前に、自己の犯罪事実を申告すること」をいいます。
自首することにより、刑事処罰が減軽されたり、逮捕リスクを小さくする効果があると考えられます。
【自首が成立する要件】
・刑法42条1項 (自首等)
「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。」
ただし、「犯人が、捜査機関が既に事件や犯人を知っている段階で、自己の犯罪事実を申告した」場合には、これは自首成立とはならず、単なる警察署への任意出頭となります。
そこで、どのような要件のもとで自己の犯罪事実を申告することで「自首」が成立し、自首による刑罰減軽の効果を受けられるのでしょうか。
裁判所の判例によると、自首成立の要件となる「捜査機関に発覚する前」とは、「犯罪事実が全く捜査機関に発覚していない場合」に加えて、「犯罪事実は発覚しているが、その犯人が誰であるか全く発覚していない場合」にも、自首が成立するとされています。
例えば、既に痴漢被害者から被害届が警察に提出されている事件につき、後から犯人が警察に自首したような場合には、犯人が誰であるか全く発覚していなければ、自首成立による刑罰減軽の可能性があります。
一方で、犯人が警察に自首しようとした時点で、被害届や目撃証言の情報等から、既に犯人が誰であるかの目星が付いていたり、犯人に関しての有力な手掛かりがある捜査状況だとすれば、自首は成立しないおそれが考えられます。
また、自首は、犯人が自発的に申告することを要件としています。
警察官の職務質問や取調べを受けた際に、嫌疑となっている事件につき事実を認めたとしても、自発的申告ではないため、自首は成立しないと考えられます。
犯人を特定せずに犯罪事実を申告したり、他人の犯罪事実について申告した結果として、自己の犯罪事実が発覚した場合にも、「自己の犯罪事実の申告」には当たらず、自首は成立しないとされています。
自分の側から自らの罪を認めて、潔く責任を取ったり刑事処罰を受ける意思を示すことで、自首成立による刑罰減軽の効果が認められるものと考えられます。
【自首を考えるなら弁護士に相談】
まずは、不同意わいせつ事件が発生してから、できるだけ早期の段階で、刑事事件に強い弁護士に法律相談することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕当日に、逮捕されている留置場に弁護士を派遣する、弁護士初回接見サービスのご依頼も承っております。
福岡市東区の不同意わいせつ事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。