深夜徘徊というと,少年を対象とした規制のように思えます。事実,深夜徘徊で補導される少年は年間30万人を超えており(平成27年度時点),喫煙と合わせると補導理由の9割近くを占めるに至っています。
ところが,深夜徘徊は少年の補導理由になるだけでなく,成人に対する罰則理由にもなるのです。その根拠となるのは,各都道府県が制定する青少年保護育成条例です。東京都の場合は「東京都青少年の健全な育成に関する条例」という名称ですが,そこではこのような規定が設けられています。
同条例15条の4第2項
何人も、保護者の委託を受け、又は同意を得た場合その他正当な理由がある場合を除き、深夜に青少年を連れ出し、同伴し、又はとどめてはならない。
「青少年」とは18歳未満の者を指します(同条例2条1号)。「深夜」とは,午後11時から翌日午前4時までの時間を指します(同条例15条の4第1項)。他の自治体では時間の幅が異なることもあるため注意が必要です。例えば,「愛知県青少年保護育成条例」では,午後11時から翌日午前6時までを「深夜」としています。正当な理由の例としては,急病等の緊急事態の場合などが挙げられます。
保護者の委託・同意や正当な理由を欠いて青少年を深夜に連れ出した場合,その青少年が16歳未満であれば,30万円以下の罰金が科せられます(東京都青少年の健全な育成に関する条例26条5号)。つまり,16歳以上18歳未満の青少年を深夜に連れ出すことは,条例上,禁止はされるものの罰則を欠くことになります。もっとも,深夜に青少年を連れ出したことで警察官から職務質問を受け,そこから児童買春や淫行が発覚することはあり得ます。
この他にも,青少年が深夜にカラオケボックス,まんが喫茶,インターネットカフェ,映画館,ボーリング場などに立ち入ることが禁止されています(同条例16条1項)。こちらは,青少年を立ち入らせた施設の経営者や従業員が30万円以下の罰金に処せられます(同条例26条6号)。
このように,児童買春や淫行に至らなくても,青少年を深夜に連れ出すだけでも犯罪になってしまいます。たとえ連れ出した青少年が16歳未満だと知らなかったとしても,知らなかったことに過失があれば犯罪は成立してしまいます(同条例28条)。
犯罪である以上,罰金刑が確定すれば前科はついてしまいます。また,逮捕されるリスクも皆無ではありません。青少年を深夜に連れ出してしまい,今後どうなるのかご不安な方は,あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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