18歳未満との性交渉で成立し得る犯罪とは
~ケース~
京都府八幡市に住むAさんは、ネットの掲示板で知り合ったBさんと親しくなり、直接会うこととなりました。
ネットの掲示板上では、Bさんは20歳の大学生であるとプロフィール欄に表示されていましたし、たばこを吸っていることや、お酒が好きであるというようなエピソードが書かれていたため、AさんはBさんが20歳であると信じていました。
ある日、Bさんと直接会ったAさんは、その外見を見て、「なんとなく、20歳にしては若いような気がするなぁ」と思ったものの、その後一緒に行った居酒屋でBさんがチューハイを注文していたこともあって、特にBさんに年齢を尋ねるというようなことはしませんでした。
居酒屋に行った後、AさんはBさんと近くのホテルに入り、対価を払うことなく性交渉を行いました。
その日の後も、AさんはBさんと連絡をとり続けていたのですが、ある日Bさんとの連絡が全く取れなくなってしまいました。
Aさんは不安に思いながらも、生活を送っていたのですが、ある日自宅に京都府八幡警察署の警察官がやってきて、捜索差押えにきました。
その後、Aさんは京都府八幡警察署で事情聴取を受けることとなりました。
その事情聴取の中で、実はBさんが17歳であることが発覚しました。
事情聴取を受けたAさんは不安になり、すぐに法律事務所に相談の電話を入れました。
(フィクションです)
~18歳未満の者との性交渉について~
18歳未満の人と性交渉をした場合、どのような罪が成立するのでしょうか。
①強制性交等・強制わいせつ罪
まず、暴行や脅迫といった手段を用いて、無理やり性交渉や、わいせつなことをした場合には、強制性交等罪や強制わいせつ罪といった罪が成立します。
暴行や脅迫を手段として性交等やわいせつな行為をした場合には、年齢がいくつであっても、これらの罪が成立しますから、相手の年齢を何歳と思っていたのかは問題になりません。
ただし、13歳未満を相手に性交等やわいせつ行為をした場合には、暴行や脅迫という手段を用いなくても、強制性交等罪や強制わいせつ罪に当たりますから、このような手段が用いられず、かつ相手の女の子の年齢が13歳未満であった場合には相手の年齢についての認識がなければ、強制性交等罪や強制わいせつ罪は成立しません。
②児童福祉法違反
児童福祉法では、児童に淫行させた場合に処罰するとされています。
「淫行させる」とは直接・間接を問わず、影響力を用いて、児童にわいせつな行為をするよう促進するようなものを指します。
具体的には、学校の先生が生徒にわいせつな行為をしたような場合が考えられます(なお、このような場合でも暴行や脅迫が用いられていれば、①の罪が成立しますから、ここから先では、全て暴行や脅迫に当たることは行われていない必要があります)。
淫行させる罪も、「児童」にさせなければなりませんから、相手が18歳未満であることの認識が必要となります。
③児童買春の罪
児童に対し、金銭などの対価を供与することを約束して、性交を行った場合には、児童買春の罪が成立します。いわゆる援助交際というのがこれに当たります。
これも、「児童」に対して、約束をする必要がありますから、相手が18歳未満であることの認識が必要となります。
④青少年条例違反(淫行条例違反)
これまでの①~③の全てに当てはまらない場合で、18歳未満の人と性的な事をした場合には、各都道府県の青少年健全育成条例違反の罪となります(条例の名前は、自治体によって青少年愛護条例など、様々です)。
この罪の特徴は、これまでの①~③と異なり、客観的に18歳未満の者と性的なことをすれば、実際に相手の事を18歳未満であると知らなかったとしても、知らなかったことに過失がある限り、処罰できる点にあります。
今回のAさんでいえば、Bさんが18歳未満であることは知りませんでした。
しかし、Aさんは、Bさんが実際に何歳であるかを確かめるようなことはしていません。
ネット上のプロフィールはいくらでもごまかすことができますし、お酒やたばこに手を出している高校生もそれなりにいますから、これらの事情だけでは、18歳未満と知らなかったことに過失がないとまでは評価できない可能性があります。
逆に、例えば、AさんがBさんに身分証の提示を求めたのに、Bさんが偽の身分証を出したような場合であれば、過失がないと評価される可能性が高くなります。
強制性交等罪、強制わいせつ罪、児童福祉法違反、児童買春の罪、淫行条例違反の疑いで、警察に呼び出しを受けて、対応にお困りであれば、淫行・援交トラブルにも強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。