淫行事件の捜査における不当な取調べに対応

今回は、淫行事件の捜査において不当な取調べが行われている場合の弁護活動につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~
Aさんは、札幌市内のラブホテルにおいて、SNSで知り合った女子高生V(17歳)と性交しました。
性交するにあたり、金銭のやり取りは特にありません。
後日、警察署からAさんのもとに電話があり、「高校生の女の子のことで聞きたいことがあるから出頭されたい」とのことです。

出頭してみると、先日の件についてVの親から被害届が提出されたことを知らされました。
ところが、被害の申告内容は「Aさんから『性交に応じないと殺す』と言われたので、仕方が無くラブホテルで性交の相手をする被害に遭った」というものです。
Aさんの認識では、Vも性交に乗り気であったし、ましてや「性交に応じないと殺す」などと申し向けた覚えもありません。

しかし、警察官は容易にAさんの供述を信用しようとせず、それどころかVの被害申告に合致した供述調書を勝手に作成し署名押印を求めるなどしています。

数時間後、Aさんは家に帰ることができましたが、警察官の態度を思い出すと無実の罪を着せられるのではないかと不安に感じています。
Aさんはどうすればよいのでしょうか。(フィクションです)

~Aさんに成立しうる犯罪は?~

(北海道青少年健全育成条例違反の罪)
北海道青少年健全育成条例第38条1項は、「何人も、青少年に対し、淫行又はわいせつな行為をしてはならない」としています。
これに違反し、有罪判決が確定すると、「2年以下の懲役又は100万円以下の罰金」に処せられます(北海道青少年健全育成条例第57条)。

青少年とは、「18歳未満の者(婚姻により成年に達したものとみなされる者を除く。)」を意味します(北海道青少年健全育成条例第14条1項1号)。

Aさんは、SNSで知り合った、17歳のVとラブホテルにおいて性交しています。
上記事実関係によれば、Aさんの行為は青少年に対する淫行又はわいせつな行為と判断され、北海道青少年健全育成条例違反の罪を構成する可能性が高いといえるでしょう。

~警察からの嫌疑は?~

ところが、警察からの嫌疑は上記と異なるようです。
警察は、AさんがVに対し、「性交に応じないと殺すぞ」と申し向け、脅した上で性交したのではないかと考えているようです。

13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて強制的に性交等をすると、「強制性交等罪」(刑法第177条前段)が成立し、法定刑として5年以上の有期懲役が予定されています。
強制性交等罪につき有罪判決を受けた場合、刑の減軽事由等がなければ、最低でも5年の懲役が言い渡されます。
北海道青少年健全育成条例違反の罪と比べると、格段に重い犯罪ということができるでしょう。

~Aさんはどうすればよいか?~

Aさんに北海道青少年健全育成条例違反の罪が成立する可能性はかなり高いと思われますが、Vを脅迫した事実はなく、強制性交等罪は成立しません。
強制性交等罪の被告人として起訴されたり、裁判で有罪判決を受けるということは、Aさん自身が冤罪の被害に遭ったということです。
このようなことは絶対にあってはなりません。

しかし、強制性交等罪については身に覚えがないと供述するAさんに警察官らは耳を貸しません。
このような場合は、すぐに弁護士を依頼し、不当な取調べが行われているとして抗議を行ってもらいましょう。

また、被疑者の権利についてもアドバイスを受けるべきです。
(署名押印拒否権)
Aさんには、内容に誤りがあるかないかに関わらず、供述調書へ署名押印する義務はありません(刑事訴訟法第198条5項但書)。
(増減変更申立権)
さらに、誤った内容の訂正や文言の追加や削除を求めることができます(刑事訴訟法第198条4項)。
(黙秘権)
供述した内容と異なる調書にしつこく署名押印するよう要求されたり、誤った箇所の訂正に応じてもらえない場合は、黙秘することも考えられます(憲法第38条1項)。

~最後に~

捜査が進めばVの被害申告が誤っていることに気付くだろうと考え、安易に調書にサインをするのは絶対に止めましょう。
Vの被害申告が不合理であるなど、不審な点に捜査機関や裁判官が気付けば、無実の罪を着せられることはないのかもしれません。
しかし、その保証はどこにもないのです。
最悪の場合は、無実の罪により刑務所で服役することになるかもしれません。
ケースのような取調べが行われている場合は、決して楽観視せず、すぐに弁護士と相談することをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
淫行事件の捜査において不当な取調べを受け、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

 

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