美人局と恐喝未遂罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
女子高校生のAさん(17歳)は、SNSでパパ活と称して援助交際と相手となる男性を募っていたところ、ある日、DMを受けた男性Vさんとお金をもらう代わりにホテルで性交する約束をしました。Aさんは約束の当日、Vさんとホテルで待ち合わせし、ホテルの個室の中に入りました。ところが、その直後、Aさんの彼氏のBさんが突然個室の中へ入り、Vさんに「おじさん、写真撮ったもんね。」「ばらされたくなければ20万円のお金を今すぐ払いな。」などと言って脅しました。Aさんは、美人局目的でVさんと連絡を取り合っていたのです。VさんはAさんらに「分かった。ATMで降ろすから待ってて。」と言ってホテルを出ていったところ、近くの交番に駆け込み被害を訴えたことから、AさんとVさんは恐喝未遂罪で逮捕されてしまいました。
(事実を基にしたフィクションです。)
~児童買春罪~
援助交際の場面においても、美人局的な犯行が行われることがあります。
被害者としては、
自分も犯罪を行っているので警察に被害届を提出しづらい
という心理が働くでしょう。
その犯罪というのは児童買春罪ではないでしょうか?
確かに、児童買春罪は、相手方が18歳未満の者と知りながら、お金などを与えたり、与える約束をして性交等に及んだ場合に成立する罪です。しかし、単に、性交等をする目的でお金を与えたり、与える約束をしただけで、性交等に至っていない場合は児童買春罪に問われないと考えられます。なおかつ、児童買春罪は未遂を処罰する旨の規定も設けられていません。
なお、性交というためには、男性が女性の膣内に陰茎を挿入したことが必要です(男性が加害者、女性が被害者の場合)。
本件では、その性交には至っていませんから、Vさんには児童買春罪は成立しないでしょう。
児童買春法4条
児童買春をした者は、5年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する
児童買春法2条2項
(略)児童買春とは、法律2条2項各号に掲げる者(児童等)に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的欲求好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう)をすることをいう
~恐喝罪~
恐喝罪は刑法249条に規定されています
刑法249条
1項 人を恐喝して財物を交付させた者は10年以下の懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
「恐喝」とは、財物の交付又は財産上不法の利益を得るために行われる「暴行」又は「脅迫」のことをいいますが、恐喝罪の場合、一般的に「脅迫」が行われることが多いと思われます。「暴行」、「脅迫」の程度は、
相手方の反抗を抑圧するに至らず、相手方に畏怖あるいは困惑の念を抱かせる程度
とされています。
つまり、およそ抵抗の余地がない状態までは必要ありませんが、人の意思決定、意思実行の自由を制限、妨害するに足りる程度であることは必要ということです。
本件では、BさんがVさんに「援助交際の場面の写真をばらすぞ」などと言っています。これを聞いたVさんからしたら、Vさんの信用が失墜しこれまで通りの日常生活を送れなくなることを想起させるものです。したがって、Bさんの行為は立派な脅迫に当たると考えられます。
なお、Aさん、Bさんは恐喝未遂罪で逮捕されています。
恐喝罪は①暴行、脅迫→②相手方の畏怖→③財物の交付という一連の流れがあってはじめて成立する罪ですが、本件では①は行われたものの、③までに至っていないことから未遂罪にとどまっています。
本件のような共犯事件で逮捕された場合は長期の身柄拘束も予想されます。
また、弁護人以外の者との接見(面会)を禁じる接見禁止決定が出るおそれもあります。
早期の身柄解放、ご家族等の接見をご希望の方は弁護士まで弁護活動をご依頼ください。
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