【報道解説】同性同士の淫行条例違反
男性が男子高校生にみだらな行為をしたとして淫行条例違反の疑いで逮捕された同性同士の淫行条例違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律が解説します。
【報道紹介】
「インターネット交流サイト(SNS)で知り合った男子高校生にみだらな行為をしたとして、静岡県警島田署は10日、県青少年環境整備条例違反で、浜松市立中教諭A容疑者(38)を逮捕した。
県警は認否を明らかにしていない。
逮捕容疑は、昨年10月上旬、男子高校生(17)が18歳未満と知りながら、自宅でみだらな行為をした疑い。 」
(令和5年1月10日に時事通信社より配信された報道より一部匿名にして引用)
【「県青少年環境整備条例」とは?】
全国各地の都道府県では、18歳未満である青少年の心身の健全な育成を図るための条例を制定しています。
条例の名前は各都道府県によって様々ですが、こうした条例は「青少年保護育成条例」と呼ばれる事が多いです。
静岡県の場合は、「静岡県青少年のための良好な環境整備に関する条例」という名前になっています。
そのため、取り上げた報道で記載されている「県青少年環境整備条例」とは、この「静岡県青少年のための良好な環境整備に関する条例」のことを意味しています。
【「県青少年環境整備条例」に違反するとどのような罪になる?】
青少年保護育成条例のなかには、18歳未満の青少年との淫らな行為を禁止している淫行条例と呼ばれる規定があります。
静岡県青少年のための良好な環境整備に関する条例では、14条の2第1項が淫行条例と呼ばれる規定になります。
静岡県青少年のための良好な環境整備に関する条例14条の2第1項では「何人も、青少年に対し、淫行又はわいせつ行為をしてはならない」と規定しています。
この規定を読んで分かる通り、淫行条例では、「何人も、青少年に対し」と規定されていて、「男性が、未成年の女性に対し」などの性別による限定はされていません。
そのため、取り上げた報道のように、男性が18歳未満の男子高校生に対してみだらな行為を行えば、同性間でも淫行条例違反となります。
また、この淫行条例違反の罪を問われるにあたって、青少年の同意の有無は関係ありませんので、青少年が淫行やわいせつ行為を行うことについて同意していた場合でも淫行条例違反になります。
静岡県青少年のための良好な環境整備に関する条例14条の2第1項の規定に違反して、青少年に対して淫行又はわいせつ行為をすると、同条例21条1項によって2年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
なお、静岡県青少年のための良好な環境整備に関する条例14条の2第2項では、青少年に対して淫行やわいせつ行為を教えたり、見せたりする行為も禁止しています。
これに違反すると、静岡県青少年のための良好な環境整備に関する条例21条4項10号によって、30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
【淫行条例違反で前科を付けたくないとお考えの方は】
18歳未満の青少年に対して淫らな行為をしたことで前科を付けたくないとお考えの方は、被害者の方と示談を締結することが非常に重要になるでしょう。
淫行条例違反事件の場合、被害者自身が18歳未満の未成年者となりますので、示談交渉はその保護者の方と行うことになります。
保護者の方と示談交渉を行う場合、自身の子供に被害を加えたとして、犯人に対する処罰感情は被害者本人よりも強い場合があります。
このような時でも、弁護士を通して粘り強く示談交渉を行うことで、最終的に示談を締結できるといったことも不可能ではないでしょう。
そのため、淫行条例違反の事件について示談をお考えの方は、まずは弁護士に相談されることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
淫行条例の違反で警察の捜査を受けてお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。