【報道解説】卑わいな言葉で逮捕

【報道解説】卑わいな言葉で逮捕

歩道を歩いていた人に対して、卑わいな言葉を発した淫行事案で逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道】

「歩いていた女性に卑わいな言動をしたとして、兵庫県警生活安全特別捜査隊と伊丹署は16日、県迷惑防止条例違反の疑いで、同県伊丹市に住む会社員の男(26)を逮捕した。
逮捕容疑は昨年10月3日朝、伊丹市内の歩道を歩いていた女子中学生(15)を追いかけ、『3万円あげるのでエッチなことをさせてください』と声を掛けた疑い。同署によると、男は調べに対し『そんなことは言ってない』などと容疑を否認しているという。」
(令和4年5月17日に配信された神戸新聞より引用)

【卑わいな言葉と刑事責任】

一般的に、性道徳に反する淫らな行いを「淫行」と言い、淫行に起因して生ずる刑事責任に伴う犯罪行為淫行事案などと呼びます。

各都道府県の迷惑行為防止条例においては、卑わいな言動を禁止し、これに違反すると罰則が科されることになっています。
例えば、とり上げた報道は兵庫県での事件ですが、兵庫県迷惑行為防止条例第3条の2第1項は、「何人も、公共の場所又は公共の乗物において、次に掲げる行為をしてはならない。」と規定し、その第1号において、「人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動」を挙げて、卑わいな言動を行うことを禁止しています。
これに違反して、卑わいな言動を行うと、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられることになり(同条例15条1項)、さらに常習として卑わいな言動をしていた場合には、罪が重くなり、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられることになります(同条例15条2項)。

この、「卑わいな言動」とは、最高裁判所平成20年11月10日決定によれば、「社会通念上、性的道義観念に反する下品でみだらな言語又は動作」のことをいいます。
報道では、「3万円あげるのでエッチなことをさせてください」という発言が、「卑わいな言動」に当たるとされて、逮捕に至っていますが、このような現金を対価に性交渉を求める発言は、社会通念上、性的道義観念に反して下品でみだらな言語といえるでしょうから、「卑わいな言動」に当たる可能性が高いです。

【卑わいな言動による前科を避けたい方は】

卑わいな言動をしたことでどのような刑が科されるかは、各自治体が定める迷惑行為防止条例によって異なります。
多くは1年から6カ月を上限とする懲役刑と100万円から50万円を上限とする罰金刑のいずれかを科すようになっています。

そして、このような前科は国家資格の取得に影響を及ぼす場合があります。
たとえば、日本の学校において教員として必要となる教育免許状のひとつである普通免許状は、禁錮以上の刑に処せられた者には、授与しないとされています(教育職員免許法第5条1項3号)ので、仮に卑わいな言動について懲役刑が定められている自治体の条例が適用される場合、禁錮以上の刑が科せられる可能性がありますので、教員の免許を取得できない場合があります。

また、仮に法定刑が罰金以下の刑しか定められていない自治体であっても、罰金刑が国家資格の取得に影響を及ぼす場合があります。
たとえば、医師免許は罰金以上の刑が科せられた場合には、免許を与えないことがあるとされていますし(医師法第4条3号)、既に医師免許を有する者が、罰金刑以上の刑が科せられた場合は、、戒告(同法第7条1項1号)、3年以内の業務停止(同項2号)、免許の取消し(同項3号)のうち、いずれかの処分がなされることになります(同項柱書)。
そのため、罰金刑が科せられた場合であっても、医師免許が取得できないという事態や、医師免許が取り消されて、医師として仕事を続けることができないという場合が生じることになります。

このように、卑わいな言動については、各自治体が定める迷惑行為防止条例によって法定刑に差があり、前科が国家資格に与える影響も様々なものがありますので、卑わいな言動をしたことによる前科を回避したいとお考えの方は、まずは、刑事事件に精通した弁護士に相談することをお勧めします。
この相談によって、弁護士から事件の流れや、前科が付く可能性といった事件の見通し、そして前科が国家資格に与える影響などについて、弁護士から詳しい説明を受けることが期待できるでしょう。
その上で、前科による不利益を回避したいと考えている方は、前科が付くことを回避するための活動を弁護士に依頼されるとよいでしょう。
卑わいな言動をした場合のように、被害者の方がいる犯罪の場合は、被害者の方との示談を行うことが非常に有効になりますが、こうした示談弁護士に依頼した方がスムーズに進む場合が多いです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、卑わいな言動をしてしまった事による条例違反の弁護活動の経験が豊富な弁護士が在籍しております。
卑わいな言動をしたことにより警察から捜査を受けてお困りの方、卑わいな言動をしたことによる前科を回避したいとお考えの方は、一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで御相談ください。

 

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