【報道解説】淫行条例違反で逮捕されて児童福祉法違反で起訴

【報道解説】淫行条例違反で逮捕されて児童福祉法違反で起訴

青少年愛護条例淫行条例)違反の疑いで逮捕された後、より重い児童福祉法違反の罪で起訴された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「18歳未満の少女にみだらな行為をしたとして、福井県警鯖江署と県警生活環境課は7月6日、児童福祉法違反児童淫行)の疑いで、県立特別支援学校の臨時任用実習助手の男(30)=福井市=を再逮捕した。
同署によると、容疑を認めている。
福井地検は同日、別の同法違反の罪で起訴した。
再逮捕容疑は4月下旬、福井市内のホテルで、教員の立場を利用して県内の少女に対し、18歳未満と知りながら、みだらな行為をした疑い。
実習助手は、別の18歳未満の少女に対する福井県青少年愛護条例違反容疑で6月に逮捕、送検されていたが、地検はより罪の重い児童福祉法違反罪に切り替えて起訴した。
起訴内容は3月25日から4月17日までの間、5回にわたり、福井市内のホテルで教員の立場を利用して、18歳未満と知りながら、少女にみだらな行為をしたとされる。
関係者によると、実習助手は以前の勤務先で少女2人と面識があった。

(令和4年7月7日に福井新聞で配信された報道より引用)

【淫行条例とは】

各都道府県が定める青少年保護育成条例青少年愛護条例といった名前の条例の中には、18歳未満の青少年に対して、みだらな性行為を行うことを禁止する淫行条例と呼ばれる規定が定められています。
報道で取り上げられている福井県青少年愛護条例においても、同条例35条1項において、「何人も、青少年に対し、みだらな性行為またはわいせつな行為をしてはならない」と規定しています。
福井県青少年愛護条例においては、これに違反して青少年みだらな性行為またはわいせつな行為をしてしまうと、2年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されることになります(同条例51条1項)。

【児童福祉法違反とは】

報道では、特別支援学校の実習助手の男性を6月に福井県青少年愛護条例違反の疑いで逮捕し、その後、検察は児童福祉法違反罪に切り替えて起訴したとあります。
児童福祉法とは、児童の心身の健全な育成のために定められた法律で、この児童福祉法の中には罰則をもって禁止されている行為があります。
そのひとつが、児童福祉法34条1項6号に規定されている「児童に淫行をさせる行為」です。

児童に淫行をさせる行為」のうち、「淫行」とは、児童の心身の健全な育成を阻害するおそれがあると認められる性交又はこれに準ずる性交類似行為を意味し、「させる行為」とは児童に対して事実上の影響力を及ぼして児童淫行をなすことを助長し促進する行為を意味すると考えられています。

そして、「させる行為」の判断に当たっては、犯人と児童の関係性や、児童にどのような行為をするように助長・促進したのか、淫行に至るまでの経緯といった、児童が置かれていた具体的な状況を総合的に考慮して判断されることとなります。
過去の判例では、高校の常勤講師が自身が勤める高校に通う16歳の女子生徒とホテルで性行為をしたという事案について「させる行為」に当たると判断したものがあります。

今回取り上げた報道では、捜査過程において、特別支援学校の臨時任用実習助手の男性がその立場を利用するなどして、被害者である児童に対して自分と淫行をさせる行為を行ったという事実が明らかとなったため、検察官は事件を児童福祉法違反の罪で起訴したものと考えられます。

なお、「児童に淫行をさせる行為」は児童福祉法の中で最も重い罰則が科されており、10年以下の懲役若しくは300百万円以下の罰金が科されるか、又はこの懲役刑と罰金刑が併わせて科せられることになります(児童福祉法60条1項)。

【18歳未満の方と淫らな行為をして警察の捜査を受けてお困りの方は】

今回取り上げた報道のように、性行為をした18歳未満の児童が、自分が教師として働く学校の生徒であったり、クラブチームで指導する教え子であったりというように、児童の意思決定に影響を及ぼすような関係性がある児童である場合には、淫行条例違反からさらに進んで児童福祉法違反の疑いで捜査が進められる可能性があります。
児童福祉法違反の「淫行をさせる行為」については、先ほどの説明の通り、児童が置かれた具体的な状況を総合的に判断されることになりますから、捜査においては、自身の立場を利用して児童に影響を与えるような事実があったか否かが重点的に調べられることになるでしょう。
そのため、自身の立場を利用して児童に影響を与えるような事実が無い場合には、警察の誘導に乗らずに取調べといった捜査に対応する必要があります。

このような取調べの対応に当たっては、事前に弁護士に相談してアドバイスを得ておくことが良いでしょう。
弁護士から専門的知識・経験に基づくアドバイスを受けておくことで、警察での取調べにおいても警察の誘導に負けることなく、冷静に事件についてお話しできることが期待できます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
18歳未満の未成年の方と性行為などの淫らな行為をしてしまい、淫行条例違反児童福祉法違反の疑いで警察からの捜査を受けられてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

 

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