【報道解説】児童買春で消防士男性を逮捕
女子高生に2万円を渡してわいせつな行為をしたとして消防士男性が児童買春で逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道紹介】
「女子高生に現金2万円を渡してわいせつな行為をした疑いで福岡市の消防士の男が逮捕されました。
児童買春の疑いで逮捕されたのは、福岡市早良区田隈の消防士・A容疑者(36)です。
筑後警察署によりますと、A容疑者は今年4月、佐賀市内のホテルで17歳の女子高生に現金2万円を渡してわいせつな行為をした疑いが持たれています。
別の児童買春事件をめぐって警察が女子高生の携帯電話を調べたところ、A容疑者の関与が浮上。
2人はSNSを通じて知り合ったということです。
A容疑者は『未成年であることは分かっていた』と容疑を認めています。」
(令和4年11月21日にテレビ西日本で配信された報道より、事実を変更したフィクションです。)
【児童買春の罪】
今回取り上げた報道は、成人男性が17歳の女子高生に対して現金2万円を支払ってわいせつな行為をしたとして児童買春の疑いで警察に逮捕されたというものです。
こうした18歳未満の児童に対して、現金などの対償を渡して性交等をすると「児童買春」に当たることになります(児童買春・児童ポルノ禁止法2条2項参照)。
児童買春にあたるためには、児童に対して「性交等」を行うことが必要になりますが、「等」という文字がついていますので、「性交等」には性交以外にも、口淫や手淫といった性交類似行為をした場合や、自分の性的好奇心を満たす目的で児童の性器・肛門・乳首を触ったり、逆に自分の性器・肛門・乳首を児童に触らせたりした場合も含まれています。
また、児童に対して性交等の対償として渡すものには現金以外にも、児童にアクセサリーなどのプレゼントをしたり、食事をご馳走したりして性交等を行った場合にも児童買春に当たると考えられています。
さらに、このような対償を性交等の相手となる児童本人に渡した場合以外にも、児童との性交等を取り持った(周旋した)人や、児童の保護者、現在児童を支配下に置いている人に渡して児童と性交等をした場合にも児童買春に当たることになります。
なお、性交等の対償は実際に相手に渡していなくても、対償を渡す約束をして性交等に及んだ場合にも児童買春に当たります。
このような児童買春行為をしてしまうと、5年以下の懲役又は300万円以下の罰金が科される可能性があります(児童買春・児童ポルノ禁止法4条)。
【歯科医師免許を持つ人に前科がついてしまうと?】
消防士は原則として市町村の職員であり、身分としては地方公務員になります。
地方公務員は、その権利や義務について、地方公務員法の規制を受けます。
地方公務員の場合は、地方公務員法第29条1項で、懲戒処分の対象となる行為が定められています。
地方公務員法第29条では、主に「各種特定の法令に違反した場合」、「職務上の義務に違反したり職務を怠つた場合」、「全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合」等に、懲戒処分として「戒告」、「減給」、「停職」又は「免職」の処分をすることができるとしています。
処分の程度が軽い順に、「戒告」「減給」「停職」「免職」の4種類となります。
公務員の「職員の懲戒処分等に関する規程」によれば、「18歳未満の者に対して、金品その他財産上の利益を対償として供与し、又は供与することを約束して淫行をした職員」に対しては、その内容を考慮して、「免職」又は「停職」となると規定されています。
つまり、地方公務員である消防士が児童買春や児童淫行を行ったことで前科がついてしまうと、「免職」処分によって仕事を辞めざるを得なくなったり、あるいは「停職」処分によって、現在の社会的立場に非常に大きな不利益を被る可能性があり得ます。
そのため、地方公務員の仕事への影響を少しでも抑えるためには、児童買春・児童淫行について起訴を回避(不起訴)することが必要になるでしょう。
余罪や前科の有無などにもよりますが、不起訴を獲得するためには、検察官が起訴の決定をする前に、児童買春の被害者である児童の保護者の方と示談をすることが非常に重要になります。
そのため、児童買春について前科がつくことを避けたいとお考えの方は、弁護士に児童買春の事件について相談して、被害者の保護者の方との示談を依頼されることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
児童買春について前科が付くことを避けたいとお考えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。