【報道解説】車で女子中学生を連れ回してわいせつ行為で逮捕

【報道解説】家出した女子中学生を連れ回してわいせつ行為で逮捕

家出した女子中学生を誘い出し、車で連れ回した上でわいせつ行為をして逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

家出した女子中学生を車で連れ回しわいせつな行為をしたとして、群馬県の介護福祉士の男が逮捕されました。
警察によりますと、逮捕されたAは今年3月、SNSを通じて女子中学生と知り合い、家出したいと言う女子中学生に声をかけて乗用車に乗せて連れ去り、公園の駐車場で抱き締めるなどの暴行を加え、わいせつな行為をした疑いがもたれています。調べに対し、Aは容疑を一部否認しているということです。」
(令和4年5月25日の日テレNEWSの内容を参考に、一部事実を変更したフィクションです)

【わいせつ目的誘拐罪とは】

上記報道において、「わいせつ目的」で人を「誘拐」した場合に成立する、わいせつ目的誘拐罪(刑法225条)が問題となっています。

わいせつ目的誘拐罪が成立するためには、「わいせつ目的」で人を誘拐する必要があります。
わいせつ目的」とは、誘拐した人が誘拐された人に対してわいせつ行為をする目的や、誘拐された人にわいせつ行為をさせる目的を言います。

わいせつ目的誘拐罪の「誘拐」とは、偽計・誘惑といった手段により他人に誤った判断をさせて他人を現在の生活環境から自身又は第三者の支配下に置く行為をいいます。
報道では、家出した未成年の女子中学生に対して、誘い文句を用いて自身の支配下である車に乗せた疑いがあるとのことで、このようなケースでは「誘拐」に該当するとされています。

従って、Aさんにはわいせつ目的誘拐罪が成立する可能性があります。
わいせつ目的誘拐罪の法定刑は、1年以上10年以下の懲役刑となっています。

なお、被害者は女子中学生で未成年者ですが、わいせつ目的などがあれば本条で処罰され、別に未成年者略取誘拐罪(刑法224条)では処罰されません。

【強制わいせつ罪とは】

実際の刑事事件例は、令和4年春の事件であり、「強制わいせつ罪」が適用されて立件されていますが、令和5年7月13日以降は、被疑者の方の意思に反する特定の要件を満たしてわいせつ行為を行った場合、「不同意わいせつ罪」(刑法176条)が適用されることになります。

不同意わいせつ罪では、次の要件に該当する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じてわいせつな行為をした場合に成立します。

要件とは、簡略すると、「暴行若しくは脅迫」、「心身の障害を生じさせること」、「アルコール若しくは薬物の摂取又はその影響」、「睡眠その他の意識が明瞭でない状態の利用」、「同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと」、「予想と異なる事態に直面させて恐怖・驚愕させること」、「虐待に起因する心理的反応を生じさせること」、「経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること」の8要件が列挙されています。

不同意わいせつ罪の法定刑は、六月以上十年以下の拘禁刑です。

【わいせつ目的誘拐罪と強制わいせつ罪の関係】

わいせつ目的誘拐罪不同意わいせつ罪が成立した場合、わいせつ目的誘拐罪は、不同意わいせつ罪を行うための手段であると考えることができますので、両罪は刑法54条1項後段が定める牽連犯の関係になります。
わいせつ目的誘拐罪不同意わいせつ罪牽連犯の関係になると、両者のうち重い方の刑によって処罰されることになります。

わいせつ目的誘拐罪の法定刑は1年以上10年以下の懲役刑であるのに対して、不同意わいせつ罪の法定刑は6月以上10年以下の拘禁刑となっています。
両罪の法定刑を比較すると、刑の上限はいずれも懲役10年と同じですが、刑の下限が懲役1年である点でわいせつ目的誘拐罪の法定刑の方が重いと言えます。
そのため、わいせつ目的誘拐罪不同意わいせつ罪の両罪が成立した場合は、わいせつ目的誘拐罪の刑によって処罰されることになるでしょう。

【わいせつ目的誘拐罪・不同意わいせつ罪の刑事弁護活動】

わいせつ目的誘拐罪不同意わいせつ罪を犯してしまい警察からの捜査を受けてお困りの方は、事件の見通しや今後の事件の流れなどについて弁護士に相談するのが良いでしょう。
本当に罪に問われるのか、罪に問われた場合にどのような刑が科されるのか、今後の対応などについて、弁護士から、専門的な知見に基づいたアドバイスを得ることが期待できます。

また、ご家族の中に、わいせつ目的誘拐罪不同意わいせつ罪の疑いで逮捕された方がいて、お困りの方は、弁護士初回接見を依頼して、弁護士を現在逮捕されているご家族の方の元へと派遣されることをお勧めします。
この初回接見によって、逮捕されたご本人やご依頼頂いたご家族に対しまして、事件の見通しや今後の流れについてアドバイスをさせて頂きます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門に取り扱う事務所です。
わいせつ目的誘拐罪不同意わいせつ罪を犯してしまいお困りの方、ご家族の中に逮捕された方がいてお困りの方は、一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで御相談下さい。

 

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