児童買春と準強制性交等

児童買春と準強制性交等について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

会社員のAさん(30歳)は、SNSで知り合った女子高生Vさん(17歳)Vさんから「親と喧嘩して家出した」」「家に泊めてくれない?」と言われました。そこで、Aさんは、この機会にVさんと性交しようとVさんの依頼を受け入れ、Vさんを自宅マンションに誘い入れました。Aさんは、Vさんと性交についての話はしていなかったため、Vさんをお酒で酔わせてから性交しようと考えました。AさんはVさんに大量のお酒を勧めて酔い潰させた上、Vさんがと性交しました。その後、Vさん行方を心配したVさんの両親が警察署に届出を提出。捜査の結果、Aさん方に寝泊まりしていることが判明し、Aさんは警察官に逮捕されてしまいました。
(フィクションです)

~児童買春~

児童買春の罪は、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下、法律)」の4条に規定されています。

法律4条
 児童買春をした者は、5年以下の懲役又は300万円以下の罰金

児童買春とは、児童(18歳未満の者)等(児童買春法2条1項各号に掲げる者)に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交(淫行)等をすることをいうとされています。

対償とは,児童に対して性交等をすることに対する反対給付としての経済的利益をいい、現金のみならず、物品、債務の免除などの財産上の利益も対償に含まれるとされています。
家出中のVさんに対して宿泊場所を提供することも「財産上の利益」といえるでしょう。

Aさんの行為が「児童買春」といえるかどうかは、結局、宿泊場所の提供が性交することに対する反対給付といえるかどうか、にかかってくると思われますが、それにはVさんが、性交についてどう考えていたか、にもよります。確かに、Vさんとっては、宿泊場所を確保することは大きいことですが、だからといって性交することまでは承諾していなかったようにも思えます。そうすると、宿泊場所の提供が性交することに対する反対給付、とは言い難く、児童買春の罪は成立し難いと思われます。

~準強制性交等の罪~

次にAさんの行為は準強制性交等罪に当たる可能性があります。
準強制性交等罪は刑法178条2項に規定されています。

刑法178条2項
 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ,又は心身を喪失させ,若しくは抗拒不能にさせて,性交等をした者は,前条の例による。
刑法177条
 13歳以上の者に対し,暴行又は脅迫を用いて性交,肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という)をした者は,強制性交等の罪とし,5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し,性交等をした者も,同様とする。

「心神喪失」とは,精神の障害によって正常な判断能力を失っている状態をいいます。例えば,熟睡,泥酔・麻酔状態・高度の精神病などがこれに当たります。
「抗拒不能」とは,心神喪失以外の理由によって心理的・物理的に抵抗することが不可能又は著しく困難な状態をいいます。恐怖,驚愕,錯誤などによって行動の自由を失っている場合などはこれに当たります。
「(心身喪失・抗拒不能に)乗じる」とは既存の当該状態を利用することをいいます。「心神喪失・抗拒不能にさせる」手段には制限はありません。麻酔薬,睡眠薬の投与・使用,催眠術の施用,欺罔などはいずれもその手段となり得るでしょう。
「前条の例よる」の「前条」とは177条のことを指します。「例による」とは,法定刑を177条と同様,

5年以上の有期懲役

とするという意味です。

本件では、Vさんを酒に酔わせた上で性交していますから「心身を喪失させて性交をした」ことに当たるでしょう。

児童買春の罪、準強制性交等罪とも重たい罪ですから、重罰を免れるためにはまず相手方と示談交渉を始め、示談を成立させることが賢明です。もっとも、示談交渉は、罪の成立を認めていることが前提ですから、罪を認めない場合は裁判で徹底的に争っていくことが必要です。

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