児童ポルノの単純所持と略式起訴
児童ポルノの単純所持と略式起訴について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~ ケース ~
神奈川県横浜市に住むAさんは、3ヶ月以上前に、SNSで知り合った人から「被写体は中学生です」と言われ、性的な部位が協調された裸の写真数枚の画像データを1万円で購入しました。Aさんは、それを含めてこれまで購入した画像を自宅のパソコンに保存していました。ところが、Aさんは、突然、神奈川県幸警察署の自宅ガサを受け、パソコンなどを押収されてしまいました。そして、Aさんは後日、児童ポルノ法違反(単純所持罪)の被疑者として幸警察署まで出頭するよう言われました。今後のことが不安になったAさんは弁護士に無料法律相談を申し込みました。
(フィクションです。)
~ 児童ポルノとは ~
児童や児童ポルノの定義は児童ポルノ法(正式名称「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」、以下、法律といいます)に規定されています。
法律2条1項によると、「児童」とは18歳に満たない者、をいいます。
そして、法律2条3項によると「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物であって
1号 児童を相手方とする又は児童による性交、又は性交類似行為に係る児童の姿勢
2号 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器を触る行為に係る児童の姿勢であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
3号 衣服の全部または一部を着けない児童の姿勢であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの
を視覚により認識できる方法により描写したものをいいます。
電磁的記録に係る記録媒体とは、情報を保存する媒体(メモリー、ハードディスク、DVDなど)を指します。
Aさんは、パソコンのハードディスクに1号から3号に該当する「児童」の姿態を保存していました。
保存していたものは画像データ(情報)ですが、それは操作すれば簡単に見ることができますので「視覚により認識できる方法により描写したもの」ということができるでしょう。
~ 法律で禁止する行為 ~
児童ポルノに関して法律で禁止する行為は以下の行為です。
7条1項 児童ポルノの単純な所持
7条2項 児童ポルノの提供
7条3項 児童ポルノを提供する目的での製造、所持、運搬、日本国内への輸入又は国外への輸出
7条4項 児童ポルノの単純な製造
7条5項 盗撮による児童ポルノの製造
7条6項 不特定若しくは多数への児童ポルノの提供や公然陳列
7条7・8項 児童ポルノを不特定若しくは多数へ提供や公然陳列する目的での、製造、所持、運搬、日本国内への輸入又は国外への輸出
児童ポルノの単純所持罪は法律7条第1項に当たります。
罰則は、
1年以下の懲役又は100万円以下の罰金
です。なお、単純所持罪が成立するには、児童ポルノの所持という事実に加えて
・児童ポルノを所持していた認識があること
・自己の性的好奇心を満たす目的で所持していたこと
・自己の意思に基づいて所持するに至った者であることが明らかであること
の全てを満たすことが必要です。
~ 児童ポルノの単純所持罪は略式起訴となることが多い ~
なお、児童ポルノの単純所持罪の刑事処分としては略式起訴されることが多いかと思われます。
略式起訴とは、一定の軽微な事件について、簡易・迅速な手続で罰金刑を科すための手続です。
略式起訴されると、裁判所から「罰金●●円に処する」という略式命令を受けます。
もっとも、上記のとおり、児童ポルノの単純所持罪にも懲役刑が設けられていますから、情状が悪い場合は正式起訴される可能性もあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、児童ポルノ所持をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。ご家族が刑事事件で逮捕され、お困りの方は、0120-631-881までお気軽にお電話ください。土日・祝日を問わず、専門のスタッフが24時間、無料法律相談、初回接見のご予約を承っております。