援交・淫行トラブルのうち,いわゆる援交,つまり援助交際を行うことは児童買春の罪の罪に該当します。ここでは児童買春の罪について解説を行います。
法律上,援交罪という罪名は存在しません。援助交際,すなわち金銭等の対価の供与等があって、18歳未満の児童と性行為等に及ぶ行為は,児童買春禁止法(正確には児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律)で児童買春の罪に問われます。なお、この対価の供与等がない場合は、各自治体が定める青少年育成条例に定める淫行の罪に問われます。また、令和5年7月13日に施行された改正刑法によれば、児童が16歳未満であると、その物と性行為等に及べば、それだけで、不同意性交等罪(旧強制性交等罪)という児童買春の罪や淫行の罪よりもさらに重い罪に問われることとなります。
まずは、児童買春の罪と淫行の罪を見てみましょう。児童買春禁止法4条は「児童買春をした者は,5年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する」と規定しています。
援交・淫行トラブルとまとめて紹介されることも多いですが,各自治体が定める青少年健全育成条例に規定される淫行の罪と比較しても,重い刑が定められています。
例えば,東京都青少年の健全な育成に関する条例では,淫行の罪は「2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する」と規定しているため(同条例18条の6,24条の3),これと比較しても児童買春の罪が重いことが分かります。
児童買春の対象となる児童とは,18歳未満の者を指します。これは故意犯ですので、正確には,相手方が18歳未満であることを知っていることも必要になります。
児童買春に該当するには,現金の交付等,対価の供与が必要になります。対価の供与やその約束がなかった場合は,児童買春の罪ではなく,淫行の罪に問われることになります。先ほども述べたとおり,児童買春の罪と淫行の罪では刑の重さに差があるため,対価の供与の有無は重要な事情となります。
児童買春に該当する行為は性行為だけに限りません。性器を身体に擦り付ける,手淫するなどといった性交類似行為も対象になります。また,児童の性器に触れたり,児童に自己の性器を触らせたりする行為も対象となります。
それゆえ,性行為を伴わなくても児童買春の罪が成立してしまう可能性があります。最初に触れたように、児童の年齢が16歳未満である場合や性行為等に児童の同意がない場合は,より重い不同意性交等罪(旧強制性交等罪)や不同意わいせつ罪(旧強制わいせつ罪)に問われることになります。法定刑は、不同意性交等罪は法定刑が懲役5年以上、不同意わいせつ罪は懲役6月以上10年以下であり、児童買春の罪や淫行の罪よりも格段に重いといえます。
児童買春の罪や不同意性交等罪などは,逮捕に引き続いて勾留(最大20日間の身体拘束)されたり,起訴されて刑事裁判になったりするおそれが十分に考えられる犯罪です。それゆえ,弁護士に依頼して,適切な取調べ対応の助言を受け,被害児童との示談を進めるといった対応が必要になってきます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,刑事事件・少年事件を中心に扱ってきた経験を活かし,児童買春の罪に問われている方やそのご家族を的確にサポートします。
初回無料の法律相談も行っていますので,児童買春の罪でお悩みの方は,まずは一度お電話ください。