今回は、大学生のAさんが、児童買春を周旋した疑いで逮捕されてしまった場合の刑事手続につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
大学生のAさんは、SNSを活用して、家出中の少女Vら(いずれも18歳未満)と知り合い、Vらを自宅アパートに住まわせていました。
そして、Vらに対し、「当分ここに住んでもいいから、ここにやってくる人物の性交の相手をしてほしい。受け取った報酬の2割はVらのもの、残り8割はAのものとしたい」ともちかけたところ、Vらはこれに応じました。
AさんはSNSで「女子高生、女子中学生揃っています。報酬は一回〇〇〇円」などと広告して客を募り、Vらにこれらの客と性交させることによって、多額の収益を得ていました。
ある日、Aさんの自宅に●署の警察官が現れ、Aさんは児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反の疑い、児童福祉法違反の疑いで逮捕されてしまいました。(フィクションです)
~児童買春を周旋するとどうなる?~
ケースの事件は、立場の弱い家出中の少女を自宅に住まわせ、児童買春に従事させたという、かなり悪質な事件です。
大学生がこのような犯罪に手を染め、多額の収益を得ていたという衝撃性からも、報道されることになる可能性が十分あります。
Aさんにはどのような犯罪が成立するのでしょうか。
(児童買春周旋罪、売春周旋罪)
Aさんは児童であるVらと遊客らの仲立ち行為をしており、当該行為は売春周旋等罪より重い児童買春周旋罪を構成する可能性があります。
特に、Aさんは児童買春の周旋によって多額の収益を得ており、「業として」児童買春を周旋したものと判断される可能性が高いでしょう。
この場合は、通常の児童買春周旋よりも罪が重くなります。(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第5条2項)。
※児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律
第五条 児童買春の周旋をした者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 児童買春の周旋をすることを業とした者は、七年以下の懲役及び千万円以下の罰金に処する。
※売春防止法
(周旋等)
第六条 売春の周旋をした者は、二年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
2 売春の周旋をする目的で、次の各号の一に該当する行為をした者の処罰も、前項と同様とする。
一 人を売春の相手方となるように勧誘すること。
二 売春の相手方となるように勧誘するため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと。
三 広告その他これに類似する方法により人を売春の相手方となるように誘引すること。
(児童福祉法違反の罪)
Aさんの行為は、児童福祉法によっても処罰される可能性があります。
同法によれば、児童に淫行をさせた場合、10年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処せられます。
また、これらが併科される場合もあります(児童福祉法第60条1項)。
(売春契約罪)
人に売春をさせることを内容とする契約をした者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処せられます(売春防止法第10条1項)。
AさんはVらに対し、自宅にVらを住まわせる条件として、自身が募ってきた遊客と報酬を得て性交するよう求め、合意しています。
上記行為は、売春契約罪を構成する可能性が高いでしょう。
~最後に~
前述の通り、ケースの事件はかなり悪質な態様であり、厳しい処分が予想されます。
起訴される可能性が高く、起訴された場合には、実刑判決を受ける事態も十分想定されます。
より軽い量刑による判決の獲得、執行猶予付き判決の獲得など、有利な事件解決を目指す場合には、被害者に対する真摯な反省、謝罪を行い、賠償を行う必要があるでしょう。
まずは接見にやってきた弁護士のアドバイスを受け、今後の弁護活動についてアドバイスを受けましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が児童買春周旋罪などの疑いで逮捕されてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。