今回は、SNSで知り合った児童に送信させた児童ポルノを用い、当該児童を恐喝した疑いで逮捕されてしまった場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
埼玉県三郷市のAさんは、SNSで知り合った女子高生V(16歳)に対し、自身の女性器を撮影した画像を送るよう求めました。
Vはこれに応じ、自身の女性器を撮影した画像を、SNSを介してAさんに送信しました。
AさんはVに対し、SNSのメッセージ機能を用いて「お前の女性器の画像をインターネットで拡散しようと思う。それが嫌なら50万円払え」と告げました。
Vは怖くなったので、親の50万円を盗みだし、Aさんの指定した口座に振り込みました。
50万円が無くなったことに気付いたVの親がVを問い詰めたところ、Vは上記の経緯を打ち明けました。
激怒したVの親は埼玉県吉川警察署に告訴状を提出しました。
Aさんは後日、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反の罪の疑いで逮捕されてしまいました。(フィクションです)
~Aさんに成立する犯罪~
①児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反の罪、②恐喝罪が成立する可能性が高いと思われます。
(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反の罪)
Vにその女性器の画像を撮らせるなどした行為は、「児童ポルノ製造罪」(同法第7条4項)を構成する可能性が高いでしょう。
法定刑は、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金となっています。
(恐喝罪)
恐喝罪は、人を恐喝して、財物を交付させる犯罪です。
上記の方法により、財産上の利益を得、又は他人にこれを得させた場合も同様です。
法定刑は10年以下の懲役となっています。
AさんはVに対し、Vの女性器の画像をインターネットに拡散すると申し向けてこれを畏怖させ、50万円を脅し取っています。
この行為が恐喝罪を構成する可能性は高いと思われます。
~今後の手続はどうなっているか?~
警察での取調べを受けた後、留置の必要があると認められるときは、逮捕時から48時間以内に検察へ身柄が送致されます。
身柄の送致を受けた検察官も取調べを行い、身柄を受け取ったときから24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内に、Aさんの勾留を請求するか、Aさんを起訴するか、あるいは釈放するかを判断します。
勾留請求がなされた場合、裁判官が勾留の要件を満たしているかどうかを審査します。
要件を満たしていると判断された場合は、10日間勾留されることになります。
やむを得ない事由があると認めるときは、さらに最長10日間、勾留の延長をすることができます。
検察官は、勾留の満期日までに、Aさんを起訴するか、不起訴にするか、あるいは処分を保留して釈放するかを決めることになります。
~早期の身柄解放活動~
ケースは児童ポルノが関わる事件の中では比較的悪質な部類の事件です。
そのため、適切な弁護活動を行わなければ、長期間勾留されてしまう可能性が高いです。
弁護士を依頼し、被害者の住所を知らないこと、距離も離れていて接触する危険性が低いということなど、在宅でも捜査を遂げられる旨を説得的に主張して、早期の釈放を目指す必要があるでしょう。
~被害者との示談~
より有利な処分(起訴猶予処分や、より軽い量刑による判決)を獲得するために、被害者(実際にはVの法定代理人)と示談を成立させることも重要です。
勾留中のAさんは示談交渉を行うことができませんし、そもそも被疑者本人で示談交渉を行うことはおすすめできません。
示談交渉についても弁護士に依頼し、より有利な条件で示談を成立させることを目指す必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が、児童ポルノ製造事件や恐喝事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。