児童ポルノに関する規制,処罰は「児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」が定めています。児童ポルノの単純所持は,1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられます(同法7条1項)。児童ポルノに関する規制,処罰は所持だけに限らず,製造や輸入,提供といった行為も処罰の対象となります。また、児童が16歳未満であり、性的な部位等の撮影をしたり、その画像を提供したりすると、令和5年7月から施行された性的姿態等処罰法により撮影罪などに問われることとなります。
例えば,18歳未満の児童にSNSで裸の写真を送信させた場合は,児童ポルノ製造の罪に問われ,3年以下の懲役又は300万円以下の罰金が科せられますし(同法7条4項)、その児童が16歳未満であれば、性的姿態等影像記録罪に問われ、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金が科せられます(同法6条1項)。
児童ポルノを内容とするDVDの販売は,児童ポルノ提供の罪に当たり,こちらも3年以下の懲役又は300万円以下の罰金が科せられますし、性的影像記録提供等罪にも当たり、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金が科せられます。このように,児童ポルノは単純所持の他にも様々な行為が規制,処罰の対象となっていますが,ここでは児童ポルノ公然陳列の罪について解説したいと思います。
児童ポルノ公然陳列の罪は児童ポルノ禁止法7条6項前段に規定されていますし、その児童が16歳未満の場合は、性的影像記録公然陳列罪として処罰されます。その罰則内容は,いずれも5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金であり、懲役と罰金の併科もできると規定されています。懲役刑と罰金刑の上限が単純所持や製造,提供より重いだけでなく,場合によっては懲役刑と罰金刑がまとめて言い渡される可能性があるため,児童ポルノに関する規制,処罰の中ではかなり重い部類に属します。
例を挙げると,児童ポルノに該当する画像を送信し,インターネットを介して不特定多数の者が閲覧できるような状態にすることが「公然と陳列した」ことになります。インターネットサイトに児童ポルノ動画をアップロードし,多額の収益を上げたケースも存在します。懲役刑と併せて罰金が科せられるような罰則になっているのは,児童ポルノを利用して不当に得た収益を吐き出させる意味合いもあります。
先に述べたとおり,児童ポルノ公然陳列の罪などは,児童ポルノに関わる罪の中でも罰則が重い部類に属します。不特定多数の者に写真や画像,動画が見られてしまうため,対象となった児童にもたらされる弊害が大きいためです。
児童ポルノ公然陳列の罪などを犯してしまった場合,逮捕や刑事裁判となるリスクが高いと言えます。それゆえ,事前に弁護士に相談して,刑事手続の見通しを確認しておく必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,刑事事件・少年事件を専門に扱う弁護士事務所として,児童ポルノ公然陳列の罪の弁護活動にも積極的に取り組みます。
児童ポルノ公然陳列の罪でお悩みの方は,まずは一度ご相談にいらしてみてください。