女性教師による男子生徒への準強制性交等事件

女性教師による男子生徒への準強制性交等事件

~ケース~

神奈川県小田原市の中学校教師のAさん(20代・女性)は男子生徒V君(15歳)と親密な関係を持っていた。
ある日,Aさんは生徒指導室にV君を呼び出し,V君のズボンを脱がしフェラチオ行為をした。
V君は乗り気ではなかったがAさんが教師であることから抵抗することが出来なかった。
V君から相談されたV君の両親は、神奈川県小田原警察署に被害届を提出した。
Aさんは準強制性交等罪の疑いで事情を聞かれることになった。
(フィクションです)

~強制性交等罪~

強制性交等罪準強制性交等罪は、平成29年の刑法改正により従来の強姦罪準強姦罪から承継類型として改正施行されました。
大きな変更点として強姦罪・準強姦罪では被害者が女性に限定されていましたが,強制性交等罪準強制性交等罪では被害者の性別は問われなくなりました。
また,行為者も強姦罪準強姦罪の構成要件が「姦淫した」であったため男性に限定されていましたが,強制性交等罪準強制性交等罪では「性交,肛門性交,口腔性交(性交等)をした者」となったため,女性も加害者となりうるようになりました。
また,強姦罪準強姦罪は親告罪でしたが,強制性交等罪準強制性交等罪は非親告罪となったため,被害者の告訴がなくても公訴を提起できるようになりました。

~女性から男性に対する強制性交等~

改正後,女性から男性に対する強制性交等罪準強制性交等罪の事件のニュースを耳にすることが増えたと思います。
もともと事件自体は発生していたと思われますが,女性が加害者となるようになったこと,非親告罪化したために,ニュースバリュ―などの面から報道されることが増えたのだと思われます。
なお、アメリカ等では女性教師による男子児童への性的虐待が事件として報道されることが日本よりも多いようです。

~Aさんの場合~

さて、今回のAさんの場合は強制性交等罪が成立するのでしょうか。
強制性交等罪は条文上,性交等の手段として暴行・脅迫が必要とされています。
強姦罪の要求した暴行・脅迫とは「相手方の反抗を著しく困難にする程度のものであれば足りる」とされています(最判昭24年5月10日刑集3巻6号711頁)。
強制性交等罪強姦罪の承継類型ですので暴行・脅迫の求める要件も強姦罪と同様だと考えられます。
今回のケースではV君はAさんが教師であるということから抵抗できなかったのですから,Aさんによる暴行・脅迫によって抵抗できなかったとはいえないでしょう。
したがって,Aさんは強制性交等罪とはならない可能性が高いでしょう。
しかし,V君はAさんに抵抗できない理由がAさんが教師であるという心理的な理由によるものです。
このような場合にはAさんはV君の抗拒不能に乗じてフェラチオ行為に及んだといえるので準強制性交等罪が成立する可能性が高いです。
抗拒不能とは心理的・物理的に抵抗ができない場合をいい,これに乗じて性交等をすることは準強制性交等罪として強制性交等罪の例によると定められています(刑法178条
2項)。
また,V君は15歳ですので各都道府県の制定する青少年保護育成条例違反(いわゆる淫行条例違反)となる可能性や児童福祉法違反となる可能性も高いです。

~弁護活動~

今回のケースのような性犯罪の場合,検察官および裁判官は行為の悪質さや被害者の処罰感情を重視することが多いと思われます。
その為,被害者の方(今回のようなケースでは両親も)と示談交渉をすることが非常に重要になります。
示談を成立させ,被害届の取下げをしてもらい,告訴をしない・処罰を求めないといった条項を示談書に盛り込んで、検察官に提出します。
非親告罪となったとはいえ、刑事裁判になった場合の被害者の方への負担を考えると,告訴をしない・処罰を求めないという場合にまであえて起訴することは少ないと思われます。
また,Aさんは教師ですが,このような事件を起こしてしまった場合懲戒免職などの社会的制裁が科せられます。
社会的制裁を受けた場合には、さらに刑事罰を科す必要はないと考えられる場合が多いようです。
強制性交等罪準強制性交等罪を告訴なしで起訴するような事件は,犯行態様が悪質であるなどといった特殊な事情がある場合だと思われます。

性犯罪では示談交渉をしようとしても被害者の方が加害者の方と会ってくれることは非常に稀です。
そのような場合でも間に弁護士が入ることによって円滑な示談交渉が可能となる場合も多いです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所刑事事件専門の法律事務所です。
準強制性交等罪でお困りの方は0120-631-881までお気軽にご相談ください。
初回接見・無料法律相談のご予約を24時間受け付けています。
(神奈川県小田原警察署までの初回接見費用:41,660円)

 

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