「今年18歳」と聞いていた場合と児童買春・淫行

「今年18歳」と聞いていた場合と児童買春・淫行

~ケース~

30代男性AさんはSNSを通じて高校3年生のVさんと知り合った。
AさんとVさんはSNSでやり取りをする内に仲良くなり,実際に会って出かけることになった。
その際,AさんがSNSのメッセージ機能でVさんに年齢を尋ねたところ,Vさんは「今年18歳」と答えたので、AさんはVさんを18歳だと思った。
AさんとVさんは実際に会って遊んだ後,ラブホテルに行き性交をした。
別れる際に,AさんはVさんに現金1万円を手渡した。
その後,AさんとVさんは同様の関係を何度か繰り返し,AさんはVさんに現金を手渡していた。
ある日,Aさんの自宅に京都府南丹警察署の警察官が来訪し,Aさんは児童買春の疑いで逮捕された。
Vさんは実際には17歳であった。
(フィクションです)

~児童買春~

児童買春は「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(通称:児童ポルノ禁止法)」第2条によって規制されています。

第2条 この法律において「児童」とは、18歳に満たない者をいう。
2 この法律において「児童買春」とは、次の各号に掲げる者に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう。以下同じ。)をすることをいう。
(以下略)

罰則は5年以下の懲役または300万円以下の懲役となっています(第4条)。
また,児童買春でない買春も売春防止法によって禁止されていますが,単純買春の場合には罰則規定はありません。

今回のケースで,AさんはVさんに年齢を尋ねており,Vさんは「今年18歳」であると答えています。
そう聞いたAさんは、Vさんを18歳であると思って,買春となる行為をしています。
刑法38条では故意処罰を規定しており「罪を犯す意思がない行為は、罰しない。」とされています。
AさんはVさんを18歳であると思って行為をしているのですから,罪を犯す意思がなかった,すなわち,故意がなかったとして罰せられないことになりそうです。

ただし,刑法38条は故意でなくても「法律に特別の規定がある場合にはこの限りでない」と規定しています。
そのため、過失の処罰規定がある場合には過失犯として罰せられることになります。
児童ポルノ禁止法では,児童買春についての過失の処罰規定はありません。
一方、18歳に満たない者と淫らな行為をすることを禁止している各都道府県の制定する青少年保護育成条例では,相手の年齢を知らなかった事について過失がなかった時には処罰されないと規定されている、つまり過失の処罰規定があることが多いようです。

~今回のAさんのケースでは~

今回のケースでいうと、Vさんが話した「今年18歳」という表現は今年18歳に「なる」場合と「なった」という場合のどちらの意味とも捉えることができます。
また,それ以外のやり取りの内容からVさんが18歳でないと推認できたと認定されてしまう場合もあります。

このような事件の場合には,事件の詳細を刑事事件の弁護経験が豊富な弁護士と相談し,年齢を知らなかったとして無罪を主張していくかどうかを決めていきます。

児童買春事件や淫行事件の場合、可能であれば被害者の方と示談をすることが終局処分や量刑
に大きく影響します。
しかし,示談をするということは罪を認める,すなわち18歳未満であると認識していたという意味合いが強くなるので,今回のケースのような場合には示談をすべきか否かは、弁護士と相談されるとよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所刑事事件専門の法律事務所です。
児童買春淫行に問われてしまいお困りの方は0120-631-881までお気軽にご相談ください。
京都府南丹警察署での初回接見(初回接見費用41,100円)・事務所での無料法律相談のご予約を24時間受け付けています。

 

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