未成年を家に泊めて未成年者誘拐罪
~事例~
大阪市生野区に住むAはSNSで、「家に帰れなくなってしまったの。少しの間でいいから家に泊めてほしい」という投稿を発見しました。
Aは不憫に思い、書き込みをしていた少女と連絡をとり、家に泊めることにしました。
すると少女はずるずると1か月ほどAの家に居座りました。
ある日、Aの自宅に大阪府生野警察署の警察官が訪れ、Aは未成年者誘拐罪の疑いで逮捕されてしまいました。
逮捕の知らせを受けたAの両親は刑事事件に強い弁護士に初回接見を依頼しました。
(この事例はフィクションです)
【未成年者誘拐】
刑法第224条
「未成年者を略取し、又は誘拐した者は、3月以上7年以下の懲役に処する」
条文中の「略取」とは暴行、脅迫を手段とするなど相手方の意思に反する方法で人をその保護されている生活環境から離れさせて自己または第三者の事実的支配の下に置くことをいい、略取した場合は未成年者略取罪となります。
一方、欺罔または誘惑を手段とした「誘拐」をした場合に未成年者誘拐罪となるのです。
欺罔とは虚偽の事実をもって相手方を錯誤に陥らせることで、誘惑は欺罔の程度に至らない甘言で相手を惑わし、その判断の適性を誤せることです。
今回の事例では未成年者を誘惑したとして未成年者誘拐罪となりました。
【未成年者を家に泊めると】
未成年者誘拐罪にあたるかどうかの判断において未成年者が自由に行動できたかどうかは関係ありません。
これは未成年者誘拐罪の保護法益が未成年者本人の身体の自由だけでなく、保護者の監護権もその保護法益となっているからです。
今回の事例の様に未成年者が望んでいるような場合でも保護者の監護権が侵害されていれば未成年者誘拐罪となります。
さらに、仕事をさせるなどの営利目的、わいせつ行為をする目的、結婚したり、傷つけたりする目的で未成年者を誘拐したと判断されると営利目的誘拐罪となる可能性もあります。
営利目的誘拐罪となると、「1年以上10年以下の懲役」となりますので注意が必要です。
今回の事例のように未成年者を家に泊めるという行為については、未成年者本人の同意を得ていたとしても保護者の同意がなければ、たとえ善意であっても未成年者誘拐罪となってしまいます。
未成年者誘拐罪は罰金刑が規定されておらず、懲役刑に3月以上という下限も設けられているので、刑法典の中でも比較的重い罪であると言えます。
罰金刑がないため、起訴されて裁判になった場合、無罪判決か執行猶予判決を得る場合以外は、実刑判決となって刑務所に入ることになります。
不起訴処分を獲得するためにも検察官が起訴不起訴の判断をする前に被害者の保護者と示談を締結しなければなりません。
【未成年者に対する示談交渉】
犯罪行為の被害者が未成年の場合、示談交渉はその保護者と行っていくことになります。
被害にあった本人ではなく保護者との示談交渉をする場合、保護者は処罰感情が大きくなりやすいことからも、通常の示談交渉よりも困難になることが予想されます。
特に今回の未成年者誘拐や児童買春、いわゆる淫行条例違反などの未成年者や18歳未満の者を保護対象としている事件では確実に保護者との示談交渉となるので、専門家である弁護士に示談交渉を依頼するようにしましょう。
もう関わりたくないから連絡先を教えないという被害者の場合でも、弁護士が間に入ることで示談交渉に応じてもらえる可能性が高まります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では示談交渉に強い弁護士が無料法律相談、初回接見を行っています。
ご予約はフリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。
大阪府生野警察署までの初回接見費用36,700円