未成年との性行為は犯罪か
未成年との性行為について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【ケース】
Aさん(26歳)は、SNS上で不特定多数の女子中学生や女子高校生と接触し、たわいもないやりとりをしながら性行為に及ぶ機会を伺っていました。
そんな中、大阪府大阪市に住むVさん(14歳)と特に親密になり、やがてVさんと会う約束を取りつけました。
当日、AさんはVさんとカラオケなどを楽しんだあと、「優しくするから」と言ってホテルで性行為に及びました。
その後、Aさんは未成年との性行為が犯罪に当たる場合があることを知り、弁護士に相談しました。
相談を受けた弁護士は、Aさんの行為が大阪府青少年健全育成条例違反(淫行)に当たる可能性があることを指摘しました。
(フィクションです。)
【未成年との性行為は犯罪か】
ニュースなどで、成人が未成年と性行為を行ったことが問題となったケースを見かけられたことがあるかと思います。
今回は、いわゆる淫行の罪を中心に、未成年との性行為について詳しく見ていきます。
日本の各都道府県においては、青少年の健全な育成と保護を目的として、青少年健全育成条例(都道府県により名称に若干差異あり)が定められています。
大阪府も例にもれず、「大阪府青少年健全育成条例」が制定されています。
未成年と性行為に及んだ場合、青少年健全育成条例が定める淫行の罪に当たる可能性があります。
たとえば、大阪府青少年健全育成条例で言うと、以下の規定が淫行の罪に関するものです。
第三十九条 何人も、次に掲げる行為を行ってはならない。
一 青少年に金品その他の財産上の利益、役務若しくは職務を供与し、又はこれらを供与する約束で、当該青少年に対し性行為又はわいせつな行為を行うこと(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号。以下「児童買春・児童ポルノ禁止法」という。)第二条第二項に該当するものを除く。)。
二 専ら性的欲望を満足させる目的で、青少年を威迫し、欺き、又は困惑させて、当該青少年に対し性行為又はわいせつな行為を行うこと。
三 性行為又はわいせつな行為を行うことの周旋を受け、青少年に対し当該周旋に係る性行為又はわいせつな行為を行うこと。
四 青少年に売春若しくは刑罰法令に触れる行為を行わせる目的又は青少年にこれらの行為を行わせるおそれのある者に引き渡す目的で、当該青少年に対し性行為又はわいせつな行為を行うこと。
第一に注意すべき点として、条例における「青少年」とは18歳未満の者を指すことです。
そのため、未成年と性行為に及んだ場合であっても、その者が18歳以上であれば淫行には当たりません。
ちなみに、児童買春における「児童」も18歳未満の者を指すので、たとえ性行為の対価として利益を提供しても、倫理上はともかく児童買春の罪として刑事上の責任を問われることはありません。
第二に注意すべき点として、必ずしも18歳未満の者との性行為全般が淫行として罰せられるわけではないことが挙げられます。
引用した条文をご覧いただくと分かるように、淫行とされる行為は「専ら性的欲望を満足させる目的で」などと限定が加えられています。
そのため、こうした要件に該当しない事情(たとえば結婚を前提とした真摯な交際関係にあったなど)があれば、淫行として罰せられない余地があります。
ただ、実際に淫行の罪の成否が問題となるケースにおいて、真摯な交際関係にあったなどとして淫行の罪の成立が否定されることは少ないのが実情です。
たとえ交際関係にある当人としては真剣でも、関係を持つに至った経緯、交際した期間の長短、婚姻の約束の有無、その真剣さ、青少年の判断能力などの様々な事情が加味される結果、淫行に当たると評価されることは珍しくありません。
上記のとおり、「18歳未満の者との性行為全般が淫行に当たるわけではない」という建前はありますが、実際のところ18歳未満者との性行為が淫行に当たらないとされるケースが少ないという現実は受け止めておくべきでしょう。
ご自身のケースが淫行に当たるか疑問に思ったら、ぜひ一度弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に強い弁護士が、淫行の成否について的確な見解をお示しします。
未成年との性行為で淫行を疑われたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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