未成年者とのパパ活で犯罪に
~ケース~
埼玉県熊谷市在住のAさんはtwitterで知り合った17歳高校2年生のVさんと,お小遣いを渡しデートをする約束をした(いわゆるパパ活)。
デートの最中に,我慢ができなくなったAさんはVさんに追加の金銭を渡し,Vさんの合意のもと,埼玉県熊谷市内のホテルで性交渉を行った。
後日,事の経緯を知ったVの両親が埼玉県熊谷警察署に相談し,Aさんは事情を聞かれることになった。
(フィクションです)
~パパ活と犯罪~
年上の男性とデートや食事をしてお小遣いをもらう活動がパパ活と呼ばれています。(なお、年上の女性とデートや食事をしてお小遣いをもらう活動はママ活と呼ばれます。)
パパ活では基本的に,性的関係は持たないといわれています。
しかし,実際のところ、性的関係を求められることも多いようです。
◇性的関係がない場合◇
仮に性的関係がなかったとしても相手方が未成年者の場合,未成年者誘拐罪(刑法224条)に問われる可能性があります。
未成年者と合意の上,デートや食事をしているのですから「誘拐」にならないと思われるかもしれません。
しかし,誘拐とは,「欺罔、誘惑などの間接的な手段を用いて、相手方を従前の生活環境から離脱させ、自己又は第三者の支配下に置くことをいう」とされています。
デートや食事をする場合,お小遣いを渡すという間接的な手段を用いて従前の生活環境から離脱させ,自己の支配下に置いたと解釈される可能性があります。
また,保護法益に監護者の監護権すなわち両親の監護権も含まれるとされていますので,やはり未成年者誘拐罪が成立してしまうでしょう。
◇性的関係があった場合◇
性的関係があった場合は話が変わってきます。
相手方が18歳以上であれば性的関係に金銭等の対価が支払われていても刑事罰はありません。
売春防止法第3条「何人も,売春をし,又はその相手方となってはならない」違反にはなりますが,本条には罰則はありません。
ただし,不法行為として民事上の賠償責任を負う可能性はあります。
相手方が18歳未満の場合には,各種の法律違反として刑事罰に問われることになります。
具体的には,児童福祉法,児童買春禁止法,青少年保護育成条例(いわゆる淫行条例)にそれぞれ違反する可能性があります。
児童福祉法第34条1項6号では「児童に淫行させる行為」を禁止しており,罰則は10年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金またはこれらの併科となっています。
「淫行」とは「児童の心身の健全な育成を阻害するおそれがあると認められる性交又はこれに準ずる性交類似行為」とされています(最高裁平成28年6月21日決定)。
児童福祉法では児童に淫行「させる」ことが処罰要件となっています。
「淫行させる」とは「直接たると間接たるとを問わず,児童に対して事実上の影響力を及ぼして児童が淫行をなすことを助長し促進する行為」とされています(最高裁昭和40年4月30日決定)。
パパ活の場合,「事実上の影響力を及ぼして」いると認められる状況はあまり多くないですが,事案によっては認められ児童福法違反に問われた事案もあります。
次に児童買春禁止法第4条は,対償を供与し,又はその供与の約束をして,当該児童に対し,性交等をした者は5年以下の懲役または300万円以下の罰金に処すると定めています。
パパ活では金銭のやりとりがあるのが通常ですので,児童買春禁止法違反として処罰されることが多いです。
また,金銭のやり取りが全くなかった場合でも,相手方が青少年(18歳未満)であった場合,各都道府県の制定する青少年保護育成条例違反となる可能性が高いです。
詳細な規定は各都道府県によって異なりますので一概に条例違反となるとは言い切れませんが,ほとんどの場合,単に青少年と淫行しただけで条例違反となります。
罰則も各都道府県条例によって異なりますが,2年以下の懲役または100万円以下の罰金となっている条例が多いです。
~実刑回避に向けて~
これらの罪で検察官に送致された場合,何もしなければ起訴され,実刑判決となる可能性があります。
逆に,被害者との示談書や反省文などの提出,示談できなかった場合は贖罪寄付などをすれば実刑判決を回避できる可能性が高くなります。
これらの活動を適切に行うためには,専門家である弁護士,とりわけ刑事事件に強い弁護士に相談することが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件専門の法律事務所です。
淫行事件や児童買春事件の弁護経験豊富な弁護士が多数所属しております。
未成年者とのパパ活による淫行事件や児童買春事件でお困り・お悩みの方は0120-631-881までお電話ください。
初回接見・無料法律相談のご予約を24時間受け付けています。
(埼玉県熊谷警察署までの初回接見費用:41,220円)