着用済み下着買い受け等の罪

18歳未満の児童との間で起きるトラブルの代表例は,児童と性行為に及んでしまい,児童買春の罪(児童買春・児童ポルノ禁止法4条)や各都道府県が制定する青少年健全育成条例の淫行の罪に問われることです。しかし,性行為に及ばなくても,下着を買い受けただけで逮捕・処罰されることがあるのをご存知でしょうか。

下着の買い受けを規制しているのは,淫行の罪を定めている青少年健全育成条例です。東京都の場合は,「東京都青少年の健全な育成に関する条例」という名称です。同条例2条1号で規定される「青少年」とは,児童買春・児童ポルノ禁止法での「児童」と同様,18歳未満の者を指します。問題となる下着買い受けの禁止は,以下のように定められています。

同条例15条の2第1項
何人も,青少年から着用済み下着等(青少年が一度着用した下着又は青少年のだ液若しくはふん尿をいい,青少年がこれらに該当すると称した下着,だ液又はふん尿を含む。以下この条においてじ。)を買い受け,売却の委託を受け,又は着用済み下着等の売却の相手方を青少年に紹介してはならない。

着用済みの下着だけでなく,18歳未満から唾液や尿を買うことも禁止されています。唾液や尿まで規制の対象にされているのは意外かもしれませんが,いわゆるブルセラショップでの提供を規制するために盛り込まれています。

実際に,下着や唾液を購入したことで逮捕,処罰されたケースもあります。なお,無償で譲り受けた場合は該当しませんが,青少年から唾を集めて回ったことで,迷惑防止条例違反を理由に逮捕されたという例もあるため,注意が必要です。

青少年から着用済み下着等を購入した場合,30万円以下の罰金刑が科せられます(同条例26条4号)。また,青少年に対して下着等を売却するように勧誘することも禁止されています(同条例15条の3第1号)。この場合は,知事が指定した知事部局の職員及び警視総監が指定した警察官から警告が発せられます(同条例18条2項9号)。警告に従わず,なお売却の勧誘をすると30万円以下の罰金刑が科されます(同条例25条)。

買い受けにせよ売却の勧誘にせよ,相手方となる青少年の年齢を知らなかったとしても,知らなかったことに過失があれば処罰は免れません(同条例28条)。例えば,制服を着ていたため一見して18歳未満と分かるような青少年から下着を買った場合,年齢を聞かされていなくても,条例違反になってしまいます。

下着等の売買を行っている青少年は,金銭目的で常習的に行っていることが往々にあります。たまたま今回は発覚していなくても,今後その青少年が別の下着売買や児童買春を行って警察に発覚した場合,メール・通話履歴から過去の売買についても明るみに出てしまうことがあるのです。

下着等の買い受けもれっきとした犯罪であるため,罰金刑が確定すれば前科がつきます。また,過去の例からも,逮捕されて身体拘束が続く可能性は否定できません。青少年から下着等を買ってしまった方は,お早めに弁護士へご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,刑事事件・少年事件を専門に扱う弁護士事務所として,迅速な対応を行います。

初回の法律相談は無料で行っているので,少しでもお悩みの点があれば,お気軽にお電話ください。

 

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