援助交際と年齢詐称
Aさんは,援助交際専用サイトで女子高校生Vさん(17歳)と知り合いました。
Aさんは,Vさんが「19歳」と言っていたことから児童買春には当たらないと思い,Vさんと現金3万円を渡した上で性交する約束をしました。
そして,約束日当日,埼玉県新座市においてAさんはVさんと会いました。
Aさんは年齢についてもう一度確認しようと,Vさんに色々と尋ねましたがVさんから明確な返事は返ってきませんでした。
さらに,Aさんは,Vさんの服装や見た目などから「もしかしたら女子高生かも」と思いましたが,このまま帰るにももったいないと思い,Vさんと市内のホテルへ行き,約束通り3万円を渡した上で性交しました。
しかし,それでもAさんは不安をぬぐい切れず,今後のことが不安になって弁護士に無料法律相談を申込みました。
(フィクションです)
~ 児童買春の罪 ~
児童買春の罪については,「児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下,法律)」の4条に規定されています。
法律4条
児童買春をした者は,5年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。
また,「児童買春」の定義については,法律2条2項に規定されており,児童(18歳未満の者)などに対し,対償を供与し,又はその供与の約束をして,当該児童に対し,性交等をすること,とされています。
= 児童買春の罪は故意犯 =
児童買春の罪は,行為者(加害者=Aさん)が相手方(被害者=Vさん)を児童であると認識していなければ成立しない犯罪です。
このように,ある犯罪事実(本件の場合,「児童」など)の認識・認容があってはじめて成立する犯罪を故意犯といいます。
これに対し,に,ある犯罪事実(本件の場合,「児童」など)の認識・認容がなくても,つまり,不注意により犯罪事実を認識・認容しなくても成立する犯罪を過失犯といいます。
故意の程度は,「児童である!」と確定的に認識している場合はもちろんのこと,「もしかしたら児童かもしれない」という程度でも足りるとされています。
しかし,児童買春の罪は過失犯ではありませんから,「児童の年齢を確認すべきだった」,「児童の年齢確認を怠った」として罪に問われることはありません。
* 年齢詐称されても児童買春の罪に問われる? *
まず,単に「児童(18歳未満の者)であるとは知らなかった」「相手から年齢を詐称された」と主張しても,警察官,検察官,裁判官は容易には信じてくれません。
同様の主張をするには,それを裏付ける証拠(LINE履歴など)が必要です。
ただ,先ほども申し上げたように,「もしかしたら児童かもしれない」という程度で故意ありとされてしまいますから,故意が否定されるのは,LINE履歴などから児童が積極的に年齢を詐称したことが認められる場合,児童が学生証などを提示するなどして18歳以上であることを明らかにした場合などに限定されると考えておいた方がいいでしょう。
* 法律で規定する過失犯 *
法律9条では,年齢を知らないことを理由として罪を免れることはできない旨の規定を設けています。
つまり,過失犯の成立を認めているのです。
ここでいう「罪」は
・児童買春周旋の罪(法律5条)
・児童買春勧誘の罪(法律6条)
・児童ポルノ提供等(単純所持・保管の罪を除く)の罪(法律7条2項から8項まで)
・児童買春等目的人身売買等の罪(法律8条)
が当たり,児童買春の罪は当然含まれていません。
法律9条
児童を使用する者は,児童の年齢を知らないことを理由として,第5条,第6条,第7条2項から第8項まで及び前条の規定による処罰を免れることはできない。ただし,過失がないときは,この限りではない。
~ おわりに ~
児童買春をした方の中には,あとで自分で見ようと思って性交時などの様子を隠しカメラで撮影する方もおられます。
しかし,その行為は,先ほど申し上げた児童ポルノ製造の罪に当たる可能性がありますから十分注意する必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,児童買春,児童ポルノをはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
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