児童に対する性交と示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部が解説します。
北海道北見市で中学教師を勤めるA(36歳)さんは、児童Vさん(16歳)の元担任の教師で、以前からVさんに好意を寄せており、Vさんに対し性的なことをしたいと考えていました。そこで、Aさんは、Vさんを自分の車で自宅まで送り届けることにし、Vさんを車に乗せ、車内でVさんの胸を揉んだり、キスをしたりしていました。そして、ある日、Aさんは、帰宅途中のVさんを車に乗せ、そのままホテルに行ってVさんと性交しました。そうしたところ、Aさんは、北海道北見警察署に、青少年健全育成条例違反、児童福祉法違反で逮捕されました。逮捕の通知を受けたAさんの母親は刑事事件専門の弁護士にAさんとの接見を依頼しました。
(フィクションです)
~ 児童に対する性行の罪 ~
児童、つまり、18歳未満の者に対し性交した場合どんな罪に問われるでしょうか?
ひとつは、児童買春の罪です。
この罪は、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下、法律)」の4条に規定されています。
法律4条
児童買春をした者は、5年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。
児童買春とは、児童(18歳未満の者)等に対し、対償(お金など)を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等をすることをいいます。
なお、「対償」とは、児童が性交等をすることに対する反対給付としての経済的利益をいいます。現金のみならず、物の交付や債務の免除もこれに含まれます。「性交等」とは、性交のみならず性交類似行為、または、自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをも含みます。
次に、淫行の罪です。
この罪は、各都道府県が定める青少年健全育成条例(名称は各都道府県により異なる)に規定されています。福岡県では、福岡県青少年健全育成条例の31条で
何人も、青少年に対し、いん行又はわいせつな行為をしてはならない。
罰則は「2年以下の懲役又は100万円以下の罰金」とされています。
最後に、児童に淫行をさせる罪です。
児童福祉法という法律の34条1号から9号には児童に対する禁止行為が規定されており、その6号で
児童に淫行をさせる行為
が規定されています。
そして60条1項で、この行為をした者を「10年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金」に処し、場合によっては併科するとされています。
ここで「淫行をさせる」とは、暴行、脅迫など強制的な手段であることだけを意味するものではありません。判例は、淫行をさせる行為の意義を「直接たると間接たるとを問わず児童に対して事実上の影響力を及ぼして児童が淫行をなすことを助長し促進する行為」と解し、淫行に当たるか否かは、①行為者と児童の関係、②助長・促進行為の内容及び児童の意思決定に対する影響の程度、③淫行の内容及び淫行に至る動機・経緯、④児童の年齢、⑤その他当該児童の置かれていた具体的状況を総合考慮して判断するのが相当としています。
~ 弁護活動 ~
事例のように、被害者の存在する事件においては、事件を早期に解決するためには示談交渉を行うことが求められます。
そして、児童が被害者の場合は、示談交渉の相手方は児童の親権者、監督者など行うことが多いと思われます。
ただし、児童に対する性犯罪事件では、被害者である児童やその親権者などが加害者と直接会うことは心理的抵抗を感じることがほとんどですので、当事者同士で示談交渉を行うことは困難となる場合がほとんどです。
また、捜査機関も2次被害を懸念し、加害者本人に被害者の連絡先等を教えることはまず考えられません。
さらに、示談交渉が遅れてしまうと、被害者側の心証を悪くしてしまう恐れもあります。
そのため、児童に対する性犯罪の示談交渉は、刑事事件に強い弁護士に依頼されることをお勧めします。
示談が成立すれば、刑事事件化の回避、逮捕の回避、不起訴処分獲得、執行猶予獲得など有利な結果を得られやすくなります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所札幌支部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見、無料法律相談の予約を受け付けております。