援助交際と弁護活動~18歳未満だと知らなかったら~
援助交際とその弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~ケース~
Aさんは、SNSで知り合った自称19歳のVさんと京都府城陽市のホテルで性交渉をすることになった。
その際、AさんはVさんにお礼としてプレゼントを買ってあげたりご飯を奢るという約束をしていた。
当日Vさんは高校の制服であると思われるブレザーおよびスカートを着用していたが,Aさんは以前,Vさんに高校の制服が好きであるという話をしており,コスプレをしてきてくれたのだと考えた。
ホテルで性交渉をした後,AさんとVさんは食事をし,AさんはVさんにブランド物のバッグをプレゼントした,
後日,Aさんの元に京都府常陽警察署から児童買春の疑いで話を聞きたいと呼び出しを受けた。
実は,Aさんは17歳の高校生あり,ブランド物のバッグを発見した両親から問い詰められAさんとの関係を話し,Vさんの両親から被害届が出されていた。
どうすればよいか不安になったAさんは,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の無料相談を利用した。
(フィクションです)
~児童買春とは~
児童買春は「児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(通称:児童買春禁止法,児童ポルノ禁止法)」によって規制されています。
児童とは18歳未満の男女をいい,「児童買春」とは,児童や児童と一定の関係にある者(たとえば保護者など)に対し,対償を供与し,又はその供与の約束をして,当該児童に対し,性交等をすることをいいます(2条1項および2項)。
罰則は5年以下の懲役または300万円以下の罰金となっています(4条)。
ところで,刑法は故意犯処罰を原則としており(38条),罪を犯す故意がない場合には特別な規定(たとえば過失傷害罪)がない場合には処罰されません。
児童買春における故意とは「児童に対して対償の供与やその約束をし性交等をする」ことになります。
そのため,相手が児童であるという認識がなかった場合には児童買春の故意に欠けることになります。
なお,18歳未満と性交渉した場合,対償の供与がない場合であっても,各都道府県の定める青少年健全育成条例違反(いわゆる淫行条例違反)となります。
例として京都府の青少年健全育成条例の該当条文を以下に記します。
第21条 何人も、青少年(執筆者注:18歳未満の者)に対し、金品その他財産上の利益若しくは職務を供与し、若しくはそれらの供与を約束することにより、又は精神的、知的未熟若しくは情緒的不安定に乗じて、淫行又はわいせつ行為をしてはならない。
2 何人も、青少年に対し、淫行又はわいせつ行為を教え、又は見せてはならない。
京都府を含む一部の都道府県では,青少年の年齢を知らないことを理由として,上記淫行条例違反の罪について処罰を免れることができないと定められています(ただし年齢を知らないことにつき過失がなかった場合にはこの限りではありません)。
今回のケースでは,Vさんは高校の制服と思しきブレザーやスカートを着用しています。
そうすると,AさんとしてはVさんが18歳未満であるのではないかと疑う余地があったとして,少なくとも過失があると評価される可能性があるでしょう。
~弁護活動~
さて,今回のケースでの弁護方針は2パターンが考えられます。
1つ目としては,Vさんは19歳を自称しており18歳未満であるとの認識はなかったとして,児童買春及び淫行条例違反の故意がなかったと主張するものです。
ただし,今回のケースでは実際に免許証などの身分証明書で年齢を確認したわけではありません。
そのため、Vさんが制服を着用していたことも考慮すると,Vさんの年齢の認識に関する過失を争うのは難しいと考えられます。
一方、児童買春の罪については,取調べに向けた弁護士との打ち合わせが功を奏する場合がありえるでしょう。
2つ目としては,罪を認めVさんと示談交渉をするパターンです。
ただし,児童買春の場合,示談交渉をしたとしても起訴されてしまう可能性が否定できません。
これは,児童買春において示談成立をもって不起訴(起訴猶予)としてしまうと,結果的にお金を支払うことで国家が児童買春を容認するということになりかねないからです。
ただし,Aさんに有利な他の事情(たとえばVさんの年齢詐称)を検察官にきちんと伝えれば,起訴猶予となる可能性があると言えます。
児童買春にせよ淫行にせよ,初犯であれば起訴されたとしても罰金刑となると思われます。
その際,示談が成立していた場合にはそれを考慮された罰金額となることが見込まれます。
示談すべきかどうかも含めて,どのような弁護方針がよいかは事案を弁護士と検討のうえ決めていく必要があるでしょう。
まずは刑事事件の弁護経験の豊富な弁護士に相談されることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件専門の法律事務所です。
児童買春や淫行条例違反の弁護経験の豊富な弁護士も多数所属しております。
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