【報道解説】医者による児童ポルノ製造事件
医者が児童ポルノ製造を行った場合の刑事手続と法的責任ついて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道紹介】
10代半ばの少女にわいせつ画像を送らせたなどとして、大阪府淀川警察署は令和4年4月20日に、児童買春、児童ポルノ禁止法違反と大阪府青少年健全育成条例違反の疑いで、兵庫県加東市の歯科医(38歳男性)を逮捕した。
男性は「中高生の女性に興味があった」と容疑を認めている。
逮捕容疑は、令和3年12月上旬に愛知県内の10代半ばの少女に電子決済で2千円を支払い、衣服の一部を脱いだ写真を自分のスマートフォンに送信させたとしている。
同年9月下旬には、大阪府内に住む別の10代半ばの少女に現金3万円を渡し、府内の宿泊施設でみだらな行為をした疑いもある。
(令和4年4月20日に配信された「産経新聞」より抜粋)
【少女にわいせつ画像を送らせる行為の刑罰とは】
18歳未満の児童から、インターネットを通じて、わいせつ画像を送らせる行為は、「児童買春、児童ポルノ禁止法違反」の「児童ポルノ製造罪」に当たるとして、刑事処罰を受ける可能性が考えられます。
そもそも、児童ポルノを所持すること自体が刑事犯罪に該当し、「児童ポルノ所持罪」の法定刑は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」とされています。
児童にわいせつ画像を送らせる「児童ポルノ製造罪」の場合には、さらに刑罰の法定刑が重くなり、「3年以下の懲役又は300万円以下の罰金」となります。
・児童買春、児童ポルノ禁止法 第7条4項
「前項に規定するもののほか、児童に第二条第三項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。」
【淫行の処罰】
18歳未満の児童に対して、(同意のもとで)わいせつ行為をした場合には、各都道府県の制定する「青少年健全育成条例」に違反するとして、各都道府県条例の処罰規定に応じて、「2年以下の懲役又は100万円以下の罰金」や「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」という法定刑の範囲で、刑事処罰を受けます。
さらには、18歳未満の児童に対して、報酬を支払って、わいせつ行為をした場合には、「児童買春、児童ポルノ禁止法違反」の「児童売春罪」に当たるとして、刑事処罰は重くなり、法定刑は「5年以下の懲役又は300万円以下の罰金」となります。
【児童ポルノ製造事件の弁護活動】
まずは、児童ポルノ製造事件の警察捜査が開始されてから、できるだけ早期の段階で、刑事事件に強い弁護士に法律相談をすることが重要となります。
容疑者の行為が、どのような刑事犯罪に該当するのかを、弁護士とともに詳細に検討し、警察取調べに呼ばれた際の供述方針を、事前に打合せしておくことが必要です。
また、児童ポルノ製造罪や児童買春罪は、被害者のいる犯罪類型であるため、弁護士の側より被害者の保護者との示談交渉を試みて、謝罪や慰謝料支払いの意思を示し、被害者側からの許しの意思を含む示談を成立させることが、刑事処罰の軽減や不起訴処分の獲得に向けた、重要な弁護活動となります。
児童ポルノ製造事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。