児童買春と示談
京都府宇治市に住むAさんは、ラブホテルにおいて女子高生であるVさん(15歳)に対してわいせつな行為を行い、その様子をスマートフォンで撮影して、そのデータをパソコンに保存したとして、京都府宇治警察署の警察官により、児童買春・ポルノ禁止法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
逮捕の通知を受けたAさんの家族は、刑事事件に強い弁護士に初回接見を依頼しました。
(フィクションです。)
~ 児童買春の罪 ~
児童買春とは、児童等に対して対償を供与し、又はその供与の約束をして、児童に対し、性交等を行うことをいいます。
「児童」とは、18歳に満たない者をいいます。
「対償」とは、児童が性交等をすることに対する対価としての経済的利益をいいます。
具体例としては、現金やバッグなどの物を渡すことがあげられますが、直接現物を渡さない場合であっても、借金を帳消しにすることなど債務の免除もこれに含まれることになります。
ここでの金額やプレゼントの価値の大小は問われません。
この「対償」を受け取るのは、必ずしも児童である必要はなく、児童に対する性交等の周旋をした者や児童の保護者に対して現金が渡さたされた場合にも「対償」に当たることがあります。
「性交等」とは「性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせること」とされています。
児童買春罪の罰則は「5年以下の懲役又は300万円以下の罰金」です。
~ 児童ポルノ製造の罪 ~
「児童ポルノ」とは、簡単にいうと、次のものが記録されたメモリ、ハードディスク、BD、DVD、写真などをいいます。
①児童を相手方とす又は児童による性交又は性交類似行為にかかる児童の姿態
②他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
③衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更にその性的な部位が露出され又は強調されているもので、性欲を興奮させ又は刺激するもの
Aさんはスマートフォンを使って①のものをスマートフォンのメモリに記録、保存しています。この記録、保存する行為が「製造」に当たり、スマートフォンのメモリが「児童ポルノ」に当たるというわけです。
製造罪は目的などによって、様々な罰則が設けられていますが、Aさんのように自身で楽しむ目的で製造した場合は「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」と定められています。
~ 児童買春で示談しても不起訴(起訴猶予)は難しい? ~
児童買春罪は非親告罪(検察官が起訴するにあたって告訴を必要としない罪)です。
立法時、その理由について次のように説明されています。
児童買春の罪については、加害者者やその背後の組織的背景の報復を恐れて告訴できなかったり、保護者への金銭の支払いで示談をし、告訴を取り下げさせたりすようなことが通常の性犯罪以上に多いことも考えられ、これを親告罪とすると、児童買春の相手方となった児童の保護や、児童を性欲の対象としてとらえる風潮の抑制、児童一般の心身の成長への重大な影響の防止を十分に図ることが困難となる(よくわかる改正児童買春・児童ポルノ禁止法P167)。
児童買春罪について親告罪とすると、示談→告訴取消し→不起訴となることが多くなることを懸念して児童買春罪を非親告罪としたというのですから、児童買春罪については、示談の事実を重要視しない、あるいは考慮しないとも考えられそうです。そうであれば、確かに、児童買春罪で不起訴を獲得することは難しくなるかもしれません。しかし、淫行の罪のように、児童買春の罪と同様の趣旨から非親告罪とされている罪や、かつては親告罪、今は非親告罪のとなった強制わいせつ罪、強制性交等罪(旧:強姦罪)などの罪ですら、示談→不起訴の事例はあります。そのため、児童買春についても不起訴を最初から諦めるべきではないでしょう。
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