児童買春の罪と執行猶予
京都府京都市東山区に住むAさん(48歳)は、SNSで女子中学生のVさん(15歳)と知り合いました。そして、AさんはVさんが18歳未満であることを認識しながらVさんと会い、ホテルでVさんに現金3万円を渡してVさんと性交しました。後日、VさんのスマートフォンをチェックしたVさんの母親がVさんが援助交際をしていることを見つけ、警察に通報しました。そこで、Aさんは京都府東山警察署に児童買春の罪で逮捕され、その後起訴されてしまいました。Aさんの妻は裁判で執行猶予を獲得できないか弁護士に相談しました。
(フィクションです)
~ 児童買春の罪 ~
児童買春の罪は「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下、法律)」の4条に規定されています。
法律4条
児童買春をした者は、5年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。
児童買春とは,児童(18歳未満の者)等に対し,対償(お金など)を供与し,又はその供与の約束をして,当該児童に対し,性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう)をすることをいうとされています(法律2条2項)。
「対償」とは,児童が性交等をすることに対する反対給付としての経済的利益をいいます。現金のみならず,物の交付や債務の免除もこれに含まれます。
Aさんは現金をという「対償」を渡した上で、Vさんと性交していますから、Aさんの当該行為は児童買春の罪に当たることは明らかです。
* 現金を支払わなかった場合 *
次の2通りが考えられます。まず、1つ目は、現金を渡す約束はしたが何らかの理由により渡せなかった、渡さなかった場合です。しかし、上記でご紹介したように、対償の供与の約束をしただけでも、その後性交すれば児童買春の罪は成立します。2つ目は、約束すらなかった場合です。確かに、この場合は児童買春の罪は成立しません。しかし、各都道府県の青少年健全育成条例(名称は各都道府県により異なる)で定められている「淫行の罪」に当たる可能性はあります。淫行の罪の罰則は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金とされていることが多いようです。
* 18歳未満だと知らなかったら *
児童買春の罪は成立しません。しかし、警察官、検察官、裁判官に単に「知らなかった」と主張しても簡単には納得してくれないでしょう。どうして知らなかったのか、知り得なかったのか、その主張を裏付ける証拠を提示する必要があります。また、淫行の罪の場合、知らなかったことを理由に罪を免れることはできないとの規定を設けている条例があります。詳しくは、各都道府県の条例で確認するか、直接弁護士にお問い合わせください。
~ 執行猶予を獲得するための要件 ~
まず,Aさんに前科がなければ,執行猶予の要件につき定めた
刑法25条1項1号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者(①)
に該当します。
そして,Aさんが判決で「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」の言渡しを受け(②),執行猶予を相当とするに足りる情状がある場合(③)には執行猶予判決を獲得することが可能です。
児童買春の罪は、懲役刑が5年以下、罰金刑が300万円以下ですから②の要件を満たす可能性は十分あります。したがって、裁判では②、③の要件を満たすための主張、立証を行う必要があります。具体的には,犯行に至る動機,経緯,犯行態様はどうだったのか,対償の内容はどうだったのか,被害弁償,示談は成立しているのか,被害者の処罰感情はどうなのかなどといったことが考慮されうると考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,児童買春の罪などの刑事事件・少年事件を専門の法律事務所です。お困りの方は,まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。無料法律相談,初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。
(京都府東山警察署までの初回接見費用:34,100円)