児童福祉法違反(淫行をさせる行為)で示談

児童福祉法違反における示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士が解説します。

【事例】

Aさんは、西東京市の高校で社会科を担当するかたわら、放課後は自身が顧問を受け持つ女子バスケットボール部の指導にも熱を入れていました。
ある日、Aさんは部員の一人であるVさん(17歳)から、「引退前の試合でどうしてもスタメンにしてほしいです」という要望を受けました。
それに対し、Aさんは「それを聞き入れるには相応の努力が必要だ」と言い、Vさんを説得して性行為に及びました。
それからしばらくして、Vさんが両親とともに警視庁田無警察署に相談したことで、Aさんは児童福祉法違反(淫行させる行為)の疑いで逮捕されました。
Aさんは、接見に来た弁護士に「示談で解決したい」と申し出ました。
(フィクションです。)

【児童福祉法違反となる淫行】

上記事例では、部活の顧問であるAさんが、部員である17歳のVさんと性行為に及んでいます。
こうした未成年との性交は、淫行として各都道府県の条例(たとえば東京都であれば東京都青少年の健全な育成に関する条例)により罰せられるケースが多くあります。

ところが、ニュースなどでも見かけるように、一部のケースでは児童福祉法という法律が適用されています。
児童福祉法は、児童(18歳未満の者)の保護の一環として、「児童に淫行をさせる行為」を禁止しています(児童福祉法34条1項6号)。
この「児童に淫行をさせる行為」には、児童を第三者と淫行させる行為のみならず、児童を自身と淫行させる行為も含まれます。
そのため、自身が児童と直接淫行をした場合も、児童福祉法34条1項6号に当たる余地があるのです。

児童福祉法における「児童に淫行をさせる行為」とは、児童に対して事実上の影響力を行使し、児童の淫行を助長・促進させる行為とされています。
つまり、単に児童と淫行を行ったにとどまらず、そこに至るまでの過程で児童に影響力を及ぼしたことが要件となります。
この影響力の有無は、児童との関係、淫行の働きかけの内容、児童が受けた影響力などの様々な事情を考慮して判断されます。
上記事例では、部活の顧問であるAさんが、試合への出場を希望するVさんに対し、その希望に応じることを暗示して性交に及んでいます。
このような行為は、Vさんに事実上の影響力を行使して淫行を助長・促進させたものと言え、Aさんは児童福祉法違反に当たると考えられます。
この場合には条例でなく児童福祉法が適用されることとなり、①10年以下の懲役、②300万円以下の罰金、③①②の両方、のいずれかという重い刑が科されるおそれがあります。

【児童福祉法違反のケースにおける示談】

被害者が存在する刑事事件では、被害弁償や謝罪などを含む被害者との示談の存在が非常に重要になります。
ただ、児童福祉法違反を含む児童に関する事件については、示談の効果が薄まる可能性が高い点に注意が必要です。
児童に関する事件は、児童とその周囲の者にとどまらず、社会一般の利益に背くものと考えられています。
そのため、たとえ児童やその保護者との間で示談を締結できたとしても、そこから直ちに被害の回復がなされたことにはならないからです。

とはいえ、被害者の処罰感情も量刑判断の一事情である以上、被害者と示談を締結する意味は見出せます。
ですので、被害者と示談しようとする意思を見せることは大切と言えます。
ただ、事件の内容が内容であることから、被害者との示談交渉が難航する場合が多いことは否定できません。
仮に被害者本人が許しているとしても、その保護者である両親が強い怒りを覚えていることはよく見られます。

もし示談を行うのであれば、示談交渉を含めて弁護士に事件を依頼することをおすすめします。
弁護士に事件を任せれば、適切かつ円滑な示談交渉が期待できるだけでなく、交渉が決裂した場合などその先に備えて手を打っておくことが容易になります。
きっと心強い存在になるはずなので、もし児童福祉法違反を疑われたら、一度弁護士に相談してみてください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件専門の弁護士が、自らの知識と経験を駆使して示談交渉に臨みます。
また、刑事事件の豊富な経験を有するので、ご依頼いただいてから最後まで安心して事件をお任せいただけます。
ご家族などが児童福祉法違反(淫行をさせる行為)の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

 

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