今回は、児童買春・児童ポルノ製造事件を複数起こしてしまった場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
東京都小平市に住むAさんは、SNSで知り合ったV(16歳)とラブホテルに入り、性交の対償として2万円を渡し、性交しました。
その様子の写真もスマートフォンで撮影しています。
ある日、Aさんの自宅に捜索差押許可状を持った警視庁小平警察署の警察官らが現れ、Aさんのパソコンやスマートフォンなどを押収していきました。
その後、Aさんは小平警察署に任意同行され、取調べを受けた後、児童買春及び児童ポルノ製造の疑いで逮捕されてしまいました。
警察はAさんにつき、同種余罪を2件ほど疑っており、Aさんとの関連について捜査する方針です(フィクションです)。
~児童買春の罪及び児童ポルノ製造罪について解説~
(児童買春の罪)
「児童買春」とは、
①児童、
②児童に対する性交等の周旋をした者、
③児童の保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいいます)又は児童をその支配下に置いている者
に対して、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等をすることをいいます(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第2条2項)。
児童買春行為に対する法定刑は5年以下の懲役又は300円以下の罰金となっています。
Aさんは児童であるVに対し、性交の対償として2万円を供与し性交しています。
上記の事実は、児童買春の罪を構成する可能性が極めて高いと思われます。
(児童ポルノ製造罪)
「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物であって、以下のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいいます。
①児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
②他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
③衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀でん部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの
児童に対し、上記の姿態をとらせ、その様子を撮影するほか、ひそかに撮影するなどすれば、児童ポルノ製造罪が成立します。
AさんはVを相手方とする性交の様子を撮影しており、この事実は、児童ポルノ製造罪を構成する可能性が極めて高いと思われます。
Aさんの行った児童ポルノ製造罪に対する法定刑は、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金となっています。
~今後の弁護活動~
児童買春事件及び児童ポルノ製造事件における起訴率は比較的高く、しかもAさんは同種の余罪についても疑われています。
複数件の児童買春事件及び児童ポルノ製造罪が全て解明された場合は、公判請求という形で起訴される可能性がより高まるでしょう。
書面審理により、罰金刑で簡便にすませられる事件ではない、ということです。
Aさんの場合は、実刑判決を受ける可能性もありえます。
執行猶予付き判決の獲得を目指して、適切な弁護活動を行う必要があります。
起訴された場合は、保釈の実現に向けて活動するのがよいでしょう。
もしAさんが小児性愛者等であれば、保釈後、専門の治療を受けることにより、再犯防止に努めていることをアピールすることができます。
被害者(児童の場合は保護者になります)と示談をすることも重要です。
被害者と示談が成立すれば、しない場合と比べて、より有利な判決がなされることが期待できます。
示談交渉についても、弁護士からアドバイスを受けましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が児童買春事件、児童ポルノ製造事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。