今回は、児童買春行為の故意を否認する弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
大阪府羽曳野市のAさんは、出会い系サイトで知り合った女性Vに2万円を与え性交しました。
出会い系サイト上のVのプロフィールには21歳と記載されていて、当日も制服ではなく、私服で現れていること、大学のサークルなどの話をしていたことから、AさんはVが21歳であると信じ込んでいました。
ところが、Vは17歳であったらしく、Vが補導された際にAさんとの関係が発覚し、大阪府羽曳野警察署に呼び出されてしまいました。
Aさんはどうすればよいのでしょうか。(フィクションです)
~児童買春の罪について解説~
児童買春とは、
①―1 児童、
①―2 児童に対する性交等の周旋をした者、
①―3 児童の保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいいます)又は児童をその支配下に置いている者に対し、
②対償を供与し、又はその供与の約束をして、
③当該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいいます)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいいます)をすることをいいます(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第2条2項)。
児童買春の罪について有罪判決を受けると、5年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処せられます(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第4条)。
客観的には、Aさんが児童であるVに2万円を渡して、Vと性交したことは事実です。
しかし、児童買春の罪は故意犯ですから、AさんがVの年齢を21歳と信じていたのであれば、同罪は成立しません。
この場合は、不起訴処分となるでしょう。
ただし、捜査機関は容易に「Vが21歳だと思っていた」旨の供述を信用しないと思われます。
どうすれば捜査機関を説得できるでしょうか。
~Aさんに児童買春の故意がなかったことを明らかにする~
刑事手続において、Aさんの故意を立証するのは検察官ですから、検察官が立証に失敗した、あるいは立証し得るだけの証拠を収集できなかった場合には、無罪判決、または不起訴処分がなされることになります。
しかし、「故意はなかった」と供述するだけで、あとは成り行きに任せる、という方針には問題があります。
Aさんの方でも説得的に故意がなかった旨を明らかにしていかなければなりません。
ケースの場合は、出会い系サイト上のVのプロフィール、Vとのやり取りなどがAさんにとって有利な情報となるでしょう。
出会い系サイト上のVのプロフィールなどから、Vが21歳であると称していたことが明確になれば、Aさんにとって有利です。
また、当日にVが私服で現れたこと、大学のサークルの話をしていたことも、Aさんの認識の信頼性を補強する情報として扱われることが期待できます。
取調べにどう対応していくか、ということも重要です。
取り調べでは、取調官から「本当はVが18歳未満だと思っていたのではないか」、「Vは『プロフィールでは21歳と書いたが当日17歳と明かした』と言っている」、「女子高校生が休日に私服で現れるのは当たり前だ」、「大学のサークルの話を聞いていておかしいと思わなかったのか」などと問い詰められることがあるかもしれません。
しかし、曲げずに「21歳と認識していた」と供述しましょう。
Aさんが供述した通りに調書が作成されない場合には、署名押印を拒否して構いません。
大学のサークルの話を信じた理由についても、あらかじめ弁護士と整理しておく必要があると思われます(Vの話した内容が、もっともらしければらしいほど、Aさんにとって有利でしょう)。
児童買春の罪の故意を争いたい場合は、まず弁護士と相談することをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
児童買春事件についてお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。