生徒との淫行で児童福祉法違反

生徒との淫行と児童福祉法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

妻子持ちの学習塾講師のAさん(40歳)は、横浜市鶴見区の学習塾でVさん(16歳)に対する個別指導を担当していました。Aさんは、学習塾以外でもVさんと会いたいと思い、指導が終わるとVさんを自分の車に乗せて、Vさんの自宅近くまで送り届けていました。Aさんは、個別指導中や車内などで、Vさんの胸を揉んだり、Vさんにキスをしたりするなどのわいせつ行為を繰り返していました。そして、AさんのVさんに対する行為は徐々にエスカレートしていき、ついにはホテルでVさんと性交する事態へと発展しました。その後も、AさんはホテルでVさんと性交を繰り返していたところ、児童福祉法違反神奈川県鶴見警察署に逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)

~淫行の罪といえば…~

淫行の罪といえば、まず神奈川県青少年健全育成条例(以下、条例)を想起します。
条例31条1項には

何人も、青少年に対し、みだらな性行為又はわいせつな行為をしてはならない。
※青少年=18歳未満の者(婚姻により成年に達したものとみなされる者を除く。)

と規定されているからです。
罰則は2年以下の懲役又は100万円以下の罰金です。

なお、相手方が18歳未満の者(児童)と知りつつ、お金などを渡す、あるいは渡す約束をして当該児童に対し性交等(性交、性交類似行為等を含む)をした場合は児童買春罪に問われる可能性があります。児童買春罪の罰則は5年以下の懲役又は300万円以下の罰金です。

~児童福祉法~

ところが本件Aさんは児童福祉法違反で逮捕されています。
児童福祉法34条1項6号には「児童に淫行をさせる行為」を禁止行為として定めており、その60条1項で「10年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金、又はこれを併科する」との罰則を定めています。

児童福祉法34条【禁止行為】
1項 何人も、次に掲げる行為をしてはならない

6号 児童に淫行をさせる行為

児童福祉法60条【禁止行為の違反】
1項 第34条第1項6号の規定に違反した者は、10年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

最高裁は、児童福祉法違反の「淫行」の意義につき

淫行とは、児童福祉法1条の趣旨に照らし、児童の心身の健全な育成を阻害するおそれがあると認められる性交又はこれに準ず性交類似行為をいうと解するのが相当であり、児童を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような者を相手とする性交又はこれに準ずる性交類似行為は、淫行に含まれる

と判示し、条例の淫行と同様の解釈をとっています。

次に、最高裁は「させる行為」の意義につき、

直接たると間接たるとを問わず、児童に対して事実上の影響力を及ぼして児童が淫行をなすことを助長し促進する行為をも包含する

と判示しています。さらに、そのような行為に当たるか否かについて、
1 行為者と児童との関係
2 助長・促進行為の内容及び児童の意思決定に対する影響の程度
3 淫行の内容及び淫行に至る動機・経緯
4 児童の年齢
5 その他当該児童の置かれていた具体的状況
を総合考慮して判断するのが相当であると具体的に判示しています。

以上から児童福祉法は、教師・講師と生徒・児童のように、

上位の立場にある人がそれより下位にある人の対して淫行したケース

に適用されることが非常に多いです。

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