今回は、児童ポルノを販売し、逮捕されてしまった場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
Aさんは、自ら製造した児童ポルノを闇サイトで販売した疑いで逮捕され、勾留決定がなされました。
Aさんの弁護人は勾留の取消しを求めて準抗告を行い、認容されたため比較的早期に外へ出ることができました。
今後も警察や検察から呼び出しを受けたら、出頭して取調べを受ける予定です。(フィクションです)
~Aさんに対する嫌疑は?~
(児童ポルノ製造罪)
児童ポルノのデータを不特定又は多数の者に提供する目的で児童ポルノを製造した場合、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、又はこれらの両方が科せられます(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第7条7項)。
Aさんは闇サイトで児童ポルノを販売する目的で自ら児童ポルノを製造しており、当該行為は本条の罪を構成する可能性が高いと考えられます。
(児童ポルノ提供罪)
児童ポルノのデータを不特定又は多数の者に提供した場合、同じく5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、又はこれらの両方が科せられます(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第7条6項)。
Aさんは闇サイトで児童ポルノを販売しており、このような行為は本条の罪を構成する可能性が高いでしょう。
~身体拘束の長期化を回避するためには?~
勾留されてしまうと、身体拘束の長期化につながります。
Aさんの弁護人は「準抗告」を申し立て、勾留の取消を実現しています。
「準抗告」は身体拘束の長期化を回避する手段の一つです。
準抗告によって勾留が取り消されれば、釈放されることになるので、早期の身柄解放を実現することができます。
今回は、身体拘束の長期化を回避する代表的な手段を紹介します。
(準抗告)
勾留決定に対し不服がある場合(例えば勾留の要件を満たさないのに勾留決定が出てしまった、など)は、「準抗告」という不服申し立て制度を通じ、勾留の取消などを求めることができます(刑事訴訟法第429条第1項2号)。
(勾留取消請求)
また、勾留の理由または勾留の必要がなくなったときは、勾留の取消請求を行うこともできます(刑事訴訟法第87条、第207条1項)。
(勾留の執行停止)
さらに、裁判官の職権により、勾留の理由がある場合であっても、適当と認めるときは、勾留の執行を停止することができます。
勾留の執行停止がなされる場合として、療養の必要がある場合、家族が死亡した場合などが挙げられます。
専ら裁判官の職権によって行われますが、適時、裁判官に職権発動を促すことにより、勾留の執行停止を実現できる場合があります(刑事訴訟法第95条、第207条1項)。
(勾留理由開示制度)
被疑者は、裁判官に対して、勾留理由の開示を請求することができます(刑事訴訟法第82条以下、第207条1項)。
勾留理由開示制度自体に身柄解放の効果があるわけではありませんが、法廷に出廷することになるので、家族が顔を見ることができます。
また、勾留延長の決定につき裁判官を慎重にさせ、前述の準抗告、勾留取消請求の準備を円滑に行うことができるようになります。
一方で、公開の法廷で手続きが行われるため、傍聴人の目にさらされることになります。
~身柄解放の実現後~
無事に身柄解放を実現しても、捜査は今後も続きます。
特に、Aさんの起こした事件は悪質であり、起訴される可能性がかなり高いでしょう。
有罪判決により懲役刑の言渡しを受け、執行猶予がつかなければ、刑務所で服役しなければなりません。
身柄解放活動を実現するためだけでなく、裁判の準備のためにも、早期に弁護士を依頼するのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
児童ポルノを製造し、販売した疑いで捜査を受けている方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。