昔保存した児童ポルノ画像で捜査
兵庫県宍粟市に住むAさん。
10代の頃にともに暴走族をしていた友人に誘われ、振り込め詐欺グループに加わりました。
しかし警察に犯行が発覚、あえなく詐欺罪で逮捕されました。
警察は詐欺罪の捜査のためにAさんのパソコンを差し押さえ、内容を確認していたところ、偶然児童ポルノに該当する画像を発見しました。
その画像は7年ほど前にAさんがアダルトサイトで見つけ、保存したものでした。
しかしAさんは児童ポルノにだけ特別な興味があるわけではなく、児童ポルノに当たらないアダルト画像も保存しており、今では保存したこと自体忘れていました。
取調べの時に検察官から画像について尋ねられたAさん。
詐欺罪の他、児童ポルノ法による処罰も受けてしまうのか不安になり、接見時に弁護士に相談しました。
(フィクションです)
~児童ポルノ単純所持~
2014年に児童ポルノ禁止法が改正され、それまで罰則のなかった児童ポルノの単純所持に罰則が設けられました。
関係する条文を見てみましょう。
第2条
1項 この法律において「児童」とは、十八歳に満たない者をいう。
2項 省略
3項 この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
1号 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
2号 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
3号 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀(でん)部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの
第7条
1項 自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者(自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
18歳未満の児童の、上記2条3号に該当するわいせつ画像を持っていると、児童ポルノ単純所持で罰せられる可能性があるわけです。
しかも2014年児童ポルノ法改正後に所持するに至った画像はもちろん、改正前から所持し続けている画像についても、罰則の適用対象となります。
なお、「児童ポルノ単純所持」の「単純」というのは、児童ポルノを自己のためではなく他人に提供する目的で所持した場合(7条3項。より重く罰せられる)と区別するための呼び方です。
~心当たりのある方は弁護士に相談を~
児童ポルノを扱う闇サイトから頻繁にダウンロードしているような方は、それが捜査機関に発覚すれば起訴され有罪判決を受ける可能性は十分あるでしょう。
販売サイトが摘発されたことをきっかけに、利用客が芋づる式に検挙されることも考えられます。
一方、Aさんのような場合には起訴猶予(不起訴)になる可能性もあります。
弁護士から検察官に対し、常習性・悪質性が低いこと等を主張して、起訴猶予(不起訴)にしてもらえるよう働きかけることも考えられます。
いずれにしろ児童ポルノをお持ちの方は早急に削除することをお勧め致します。
ただ、児童ポルノ単純所持の時効は3年ですので(刑事訴訟法250条2項6号参照)、削除してから3年が経過していない場合も処罰を受ける可能性があります。
過去を含め児童ポルノを所持していたことがあり、ご不安がある方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
秘密は厳守いたしますのでご安心ください。
事務所での法律相談は初回無料となっております。
(兵庫県宍粟警察署への初回接見費用:フリーダイヤル0120-631-881までお気軽にお問い合わせください)