【報道解説】車で10代女性を連れ回してわいせつ行為 わいせつ目的誘拐と不同意わいせつで逮捕

【報道解説】車で10代女性を連れ回してわいせつ行為 わいせつ目的誘拐と不同意わいせつで逮捕

10代女性に声をかけ、車で連れ回した上でわいせつ行為をして逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

令和7年3月19日、佐賀南警察署は、わいせつ目的誘拐不同意わいせつの疑いで、佐賀市在住の無職の男A(78)を逮捕した。
逮捕容疑は、3月12日午後5時から同6時までの間、佐賀市内の路上で歩いていた10代女性に対して車に乗るよう声をかけ、車に乗せて連れ回したうえ、神埼市の公園に駐車した車内で抱きつくなどした疑い。
わいせつ目的ではなく、わいせつ行為はしていない」と容疑を否認している。
同署によると、容疑者と女性は面識はなく、被害関係者から「(女性が)声をかけられて車に乗せられた」と110番があり、発覚した。
(令和7年3月20日の佐賀新聞の記事を参考に、一部事実を変更したフィクションです。)

【わいせつ目的誘拐罪とは】

報道では、被害者の10代女性に声を掛けて乗用車に乗せて連れ去り、その後わいせつな行為をしたとありますが、このような行為はどのような罪に問われる可能性があるのでしょうか。
まず考えられるのは、「わいせつ目的」で人を「誘拐」した場合に成立する、わいせつ目的誘拐罪(刑法225条)です。

わいせつ目的誘拐罪が成立するためには、「わいせつ目的」で人を誘拐する必要があります。
わいせつ目的」とは、誘拐した人が誘拐された人に対してわいせつ行為をする目的や、誘拐された人にわいせつ行為をさせる目的を言います。
報道では、Aが「わいせつ目的」で被害者女性を誘拐したかについての記載がありませんが、Aが実際に被害者女性に抱きつく等のわいせつ行為をした事実が認定されれば、「わいせつ目的」があったと判断されると考えられます。

わいせつ目的誘拐罪の「誘拐」とは、偽計・誘惑といった手段により他人に誤った判断をさせて他人を現在の生活環境から自身又は第三者の支配下に置く行為をいいます。
報道では、被害者女性に対して、どのような言葉を声をかけて誘拐したのか記載されていませんが、今後、被害者の供述等をもとに、正当な理由もなく自身の支配下である車に乗せる行為が認定されれば、「誘拐」に該当すると判断されるでしょう。

わいせつ目的誘拐罪の法定刑は、1年以上10年以下の懲役刑となっています。

なお、報道によれば、被害者は10代女性とあり、未成年者か否か判別できませんが、仮に未成年者であった場合、わいせつ目的などがあれば本条で処罰され、別に未成年者略取誘拐罪(刑法224条)では処罰されません。

【不同意わいせつ罪とは】

正当な理由もなく、被害者の意思に反して、わいせつ行為を行うのに必要な程度の暴行を加えてわいせつ行為をしていた場合には、不同意わいせつ罪(刑法176条)が成立します。

報道では、10代女子に対して抱き締めるなどの暴行を加え、わいせつな行為をした疑いがあるとの記載があります。
抱きしめるという行為は、被害者の意思に反してわいせつ行為を行うのに必要な、反抗を著しく困難にする程度の暴行に当たると考えられます。
よって、そのような暴行を加えた上でわいせつ行為をしたという事実が認められれば、Aさんには不同意わいせつ罪も成立する可能性があります。

不同意わいせつ罪の法定刑は、6月以上10年以下の懲役刑となっています。

【わいせつ目的誘拐罪と不同意わいせつ罪の関係】

わいせつ目的誘拐罪不同意わいせつ罪が成立した場合、わいせつ目的誘拐罪は、不同意わいせつ罪を行うための手段であると考えることができますので、両罪は刑法54条1項後段が定める牽連犯(「けんれんはん」又は「けんれんぱん」と読みます)の関係になります。
わいせつ目的誘拐罪不同意わいせつ罪が牽連犯の関係になると、両者のうち重い方の刑によって処罰されることになります。

わいせつ目的誘拐罪の法定刑は1年以上10年以下の懲役刑であるのに対して、不同意わいせつ罪の法定刑は6月以上10年以下の懲役刑となっています。
両罪の法定刑を比較すると、刑の上限はいずれも懲役10年と同じですが、刑の下限が懲役1年である点でわいせつ目的誘拐罪の法定刑の方が重いと言えます。
そのため、わいせつ目的誘拐罪不同意わいせつ罪の両罪が成立した場合は、わいせつ目的誘拐罪の刑によって処罰されることになるでしょう。

【わいせつ目的誘拐罪・不同意わいせつ罪の刑事弁護活動】

わいせつ目的誘拐罪不同意わいせつ罪を犯してしまい、警察からの捜査を受けてお困りの方は、事件の見通しや今後の事件の流れなどについて弁護士に相談するのが良いでしょう。
本当に罪に問われるのか、罪に問われた場合にどのような刑が科されるのか、今後の対応などについて、弁護士から、専門的な知見に基づいたアドバイスを得ることが期待できます。

また、ご家族の中に、わいせつ目的誘拐罪不同意わいせつ罪の疑いで逮捕された方がいて、お困りの方は、弁護士初回接見を依頼して、弁護士を現在逮捕されているご家族の方の元へと派遣されることをお勧めします。
この初回接見によって、逮捕されたご本人やご依頼頂いたご家族に対しまして、事件の見通しや今後の流れについてアドバイスをさせて頂きます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門に取り扱う事務所です。
わいせつ目的誘拐罪不同意わいせつ罪を犯してしまいお困りの方、ご家族の中に逮捕された方がいてお困りの方は、一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談下さい。

 

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