援助交際で盗撮
Aさんは、SNSを通じて東京都小平市に住むVさん(16歳)と知り合い、Vさん宅近辺で会って援助交際をすることになりました。
Vさんとの性交は3万円という約束でしたが、これを高いと感じたAさんは、Vさんとの性交の様子を盗撮することにしました。
そして、予定どおり3万円を渡して性交を行い、その様子をベッドの脇に置いておいたスマートフォンで盗撮しました。
数日後、Vさんが補導されたことで援助交際の事実が発覚し、Aさんは児童買春の疑いで警視庁小平警察署にて取調べを受けることになりました。
Aさんが弁護士に相談しに行ったところ、「盗撮をしているので児童ポルノ製造に当たる可能性もある」と言われました。
(フィクションです)
【盗撮による児童ポルノ製造】
上記事例のAさんは、第一に3万円を支払って18歳未満であるVさんと性交をしていることから、児童買春の罪が成立すると考えられます。
罰則は、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」(以下、「児童買春・児童ポルノ禁止法」)が定めるとおり、5年以下の懲役または300万円以下の罰金です。
更に、AさんはVさんとの性交の様子を盗撮しています。
前提として、他人の下着や裸などを盗撮した場合、各都道府県が定める迷惑防止条例違反の罪に当たる可能性があります。
罰則は都道府県により若干異なりますが、東京都の場合は1年以下の懲役または100万円以下の罰金です。
ただ、この罪が適用されるのは「公共の場所」または「公共の乗物」における盗撮であり、ホテルの一室での盗撮はこれに当たらないと考えられます。
今回のケースでそれより重要なのは、Vさんが18歳未満の者であることから、児童ポルノ製造に当たる可能性が高いということです。児童買春・児童ポルノ禁止法は、児童の性的な行為や性的な部位を記録した物を「児童ポルノ」とし、様々な規制を設けています。
その規制の一つに児童ポルノ製造があり、製造の方法の一つとして、ひそかに児童の性的な行為や性的な部位を記録することが挙げられています。
罰則は、児童ポルノの所持や提供などと同様、3年以下の懲役または300万円以下の罰金となっています。
これに児童買春の罪が重なるとなると、処分は厳しいものになることが見込まれるでしょう。
【想定される弁護活動】
昨今たびたびニュースなどで見かけるように、児童買春や児童ポルノ製造を通した児童の性的搾取は、国内外を問わず重大な社会問題の一つとなっています。
このことは、前述した児童買春や児童ポルノ製造の罰則の重さからも分かるかと思います。
上記事例のようなケースでは、おおむね以下のような弁護活動を検討することになります。
第一に、被疑者が逮捕された場合については、身元引受人の確保や監督のための環境整備などを行ったうえで、捜査機関や裁判所に釈放するよう働きかけることが考えられます。
逮捕の可能性というのは罪の重さにある程度左右されるものであるため、特に児童買春については決して低いとは言えません。
第二に、被害者との示談が考えられます。
ただ、児童買春と児童ポルノ製造は、児童個人(とその保護者)というより社会一般の秩序や風俗を乱す罪なので、示談の効力が他の性犯罪などと比べて弱まることがあります。
その場合でも、上記事例のような児童ポルノ製造に関しては、盗撮について児童の承諾がない分、相対的に示談の評価が高まる可能性もあるでしょう。
第三に、カウンセリングなどによる再犯防止策が考えられます。
児童に対する偏愛は社会的に特殊であり、児童の性に関する判断能力が乏しいことも相まって、捜査機関や裁判所としてはどうしても再犯のおそれが気になります。
そこで、カウンセリングを受けるなどすることで、自身と向き合っており再犯の可能性が低いことをアピールすることも大切になってきます。
以上は飽くまでも一例であり、実際は個別の事案に応じて様々な活動が考えられます。
ですので、もし児童買春や児童ポルノ製造に関して不安を覚えたら、一度お近くの弁護士に相談されることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件・少年事件専門の弁護士が、児童買春や児童ポルノ製造に関するご相談も真摯にお受けします。
児童買春や児童ポルノ製造の罪を疑われたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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