児童買春と略式起訴
児童買春と略式起訴について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~ ケース ~
東京都台東区に住む会社員のAさんはSNSで知り合った当時16歳の少女Vさんと会い、ホテルでVさんに3万円を手渡した上でVさんと性交しました。その後、数か月が経ち、Aさんは警視庁蔵前警察署に児童買春の罪で逮捕されてしまいました。Aさんは勾留期間8日間目で略式起訴され、罰金50万円の略式命令を受けて釈放されました。
(フィクションです。)
~ 援助交際は児童買春の罪に当たる ~
児童買春の罪は、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下、法律)の4条に規定されています。
第4条
児童買春をした者は、5年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。
そして、法律2条2項では「児童買春」を、
児童等に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的欲求好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう)をすること
と定義されています。
~ 略式起訴とは? ~
検察官が行う起訴には「正式起訴」と「略式起訴」の2種類があります。
「正式起訴」は、検察官が、裁判所に対し、皆さんもテレビドラマなどでよくみる公開の法廷で裁判(正式裁判)を開くことを求めるものに対し、「略式起訴」は、検察官が、裁判所に対し、公開の法廷ではなく書面のみでの裁判(略式裁判)を求めるものです。
略式起訴されると略式裁判が開かれます。
開かれるといっても、正式裁判と異なり法廷に出廷する必要はありません。
略式命令では100万円以下の罰金又は科料の命令のみしか発することができません。
上記のように、児童買春の罪は選択刑として罰金刑が設けられていますから、児童買春の罪で逮捕されても略式起訴され略式裁判を受ける可能性は十分にあります。
逮捕から略式起訴、略式裁判までの流れは以下のとおりです。
逮捕→勾留→捜査機関(警察、検察)による捜査→検察官から略式起訴、裁判に関する説明を受け、同意を求められる(勾留期間満了の日のおおよそ2日前)→略式起訴
略式裁判となれば、
・懲役刑を受けるおそれがない(略式命令では100万円以下の罰金又は科料の刑の命令しか出せない)
→将来、刑務所で服役するおそれがなくなる
・公開の法廷に出廷する必要がない
→会社を休む必要がない(通常の日常生活を送れる)、裁判を他人の目に晒されることはない(事件を秘密にできる)
などといったメリットがあるほか、勾留されている場合は、
略式命令が出た時点で釈放される
という点も挙げることができます。
児童買春の罪で逮捕・勾留されても様々な手段で釈放を求めることができますが、検察官に略式起訴を促し結果として釈放を実現することも方法の一つです。
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