児童買春~逮捕後勾留までの流れ、釈放活動~
埼玉県所沢市に住む会社員のAさんは、出会い系サイトで知り合った女子高生Vさん(15歳)を市内のホテルへ誘い出し、そこでVさんに現金3万円を手渡した上で、Vさんに自己の性器を触らせたり、陰茎を舐めさせるなどしました(膣内への挿入はなし)。その後、1か月ほど経った後、Aさんは埼玉県所沢警察署から児童買春の疑いで呼び出しを受け出頭したところ、そのまま逮捕されてしまいました。逮捕の通知を受けたAさんの家族は、Aさんとの接見を刑事事件に強い弁護士に依頼しました。
(フィクションです。)
~ 児童買春の罪 ~
児童買春の罪は、正式名称、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下、法律)」の4条に規定されています。
法律4条
児童買春をした者は、5年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。
ここで児童買春とは、
児童等に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等をすること
をいいます。
まず、「対償」とは、児童に対して性交等をすることに対する反対給付としての経済的利益をいうとされています。ですから、「対償」はお金に限られず、物品や食事、宿泊場所の提供、債務(借金)の免除などを含むものと解されます。そして、児童買春の罪は、児童の性的搾取を抑止、防止するために設けられた規定ですから、「対償」というためには上の点に加えて、
① 性交等をすることに対する反対給付といえること
② 供与されたものが社会通念上経済的利益といえること
の2点が認められなければならないとされています。簡単に言えば、
性交等に対する対価といえること
と言ってもいいかもしれません。なお、「対償」を供与する約束をして性交等をしただけ(その後、実際に供与したかどうかは問わない)でも、児童買春に問われる可能性がありますから注意が必要です。
次に、「性交等」とは、性交のほか
・性交に類似した性交類似行為(手淫、口淫など)
・自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせること
も含まれます。
~ 逮捕後勾留までの流れ ~
児童買春が発覚すると、状況にもよりますが逮捕される可能性は比較的高いと思われます。
逮捕後は,被疑者(Aさん)は警察官の弁解録取という手続きを受けます。建前はAさんから弁解を聴く手続きですが,実質は取調べと同様です。ここでは罪を認めるのか,認めないのか聴かれ,その旨を書類にまとめられます。この書類は後々,裁判で証拠となり得ますから注意が必要です。被疑者をそのまま拘束する必要があると判断されたときは、逮捕から48時間以内に検察官の元に事件と身柄を送致する手続きが取られます(①)。
検察官の元でも警察官と同様、弁解録取の手続きを受けます。検察官により被疑者を継続して拘束する必要があると判断されたときは、被疑者の送致を受けたときから24時間以内に裁判官に対し、勾留請求という手続きが取られます(②)。
勾留請求された場合、Aさんは裁判所の勾留質問室というところへ連れていかれます。そして、今度は裁判官による勾留質問を受けます。ここでもこれまで同様、事件について聴かれ書類が作られます(③)。勾留質問の結果などを踏まえてAさんを勾留するかどうか判断されます。
~ 釈放に向けた弁護活動 ~
このように、逮捕から勾留決定までには警察官(①)、検察官(②)、裁判官(③)の3段階の手続を踏んでいることが分かります。
これは人の身柄拘束は重大な人権侵害であるため、各段階で身柄拘束の理由・必要性をチェックし、不当な人権侵害を防止するためにあるのです。ですから、警察官、検察官は自らの権限で被疑者を釈放することができますし、裁判官は検察官の勾留請求を却下することができるのです。ですから、この間弁護人としては、早期釈放のために、警察官、検察官、裁判官に働きかけて行く必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見、無料法律相談の予約を受け付けております。