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額が低くても児童買春?
額が低くても児童買春?
福岡県朝倉市に住む会社員のAさん(32歳)は、インタ―ネットを通じて知り合ったVさん(17歳)と会い、食事やカラオケなどをして遊びました。その際にかかった遊興費は全てのAさんが負担しました。その後、AさんはVさんと別れる際、一か八かでVさんに「ホテルに行かない?」と言いました。すると、AさんはVさんから「今日楽しめたし、1万円くれるなら行ってもいいよ」と言われました。そこで、AさんはVさんに1万円を渡し、近くのラブホテルに入ってVさんと性交しました。ホテル代もAさんが負担しました。ところが、後日、AさんはVさんに電話やメールをするも一向に連絡がつきません。もしかしたらVさんが警察に補導されたり、携帯電話を保護者等に取り上げられて警察に差し出され、児童買春で逮捕されるのではないかなどと不安になったAさんは、淫行事件に詳しい弁護士に対応を相談しました。
(フィクションです)
~ 児童買春の罪とは ~
児童買春の罪は、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下、法律といいます)4条に規定されています。
法律4条
児童買春をした者は、5年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。
なお、「児童」とは18歳未満の者(男女を問わない)(法律2条1項)、「児童買春」とは、以下の掲げる者に対し、対償を供与し、性交等(性交又は性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいう)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう))をすることをいうとされています。
・児童
・児童に対する性交等の周旋をした者
・児童の保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。)又は児童をその支配下に置いている者
~ 「対償」とは ~
「対償」とは、児童に対して性交等をすることに対する反対給付としての経済的利益をいい、現金のみならず、物品、債務の免除などの財産上の利益も対償に含まれるとされています。
児童買春における「対償」に当たるかどうかは、①性交等をすることに対する反対給付と言えるかという点と、②供与されたものが社会通念上経済的利益といえるかという2点を検討しなければならないとされています。
この点、今回供与された現金が②社会通念上経済的利益という点については問題ないでしょう。
問題は①の点です。
まず、金額の多寡は問わないとされていますから、極端な話、10円、100円でも「対償」に当たる可能性は少なからずあります。しかし、供与されたものが性交等をすることの反対給付といえること、つまり、対償を供与された、又はその供与の約束をされたことによって児童が性交等に応じることを決定した、という関係が認められなければなりません。これからすると、10円、100円では「対償」には当たらない可能性の方が高いでしょう。
反対給付か否か、「対償」によって児童が性交等に応じることを決定したかいなかを判断する要素としては、
・対償自体の性質(現金なのか物なのか食事なのかなど)
・対償の金額、経済的価値
・対償の供与、約束から性交(淫行)等までの時間的関係
・児童との交友関係(濃いか薄いか)
・児童の気持ち、言い分
などを詳細に検討する必要があります。
本件の場合、1万円と比較的高き金額からしても「対償」とされる可能性はあると思います。
~ 児童買春での立件が難しい場合は? ~
供与したものが児童買春の「対償」とは言い難い、あるいはそれを認める証拠が足りない、という場合は児童買春罪で立件されることはありません。しかし、18歳未満の者に対しわいせつな行為、淫行をした場合は、各都道府県が定める青少年健全育成条例違反に当たる可能性がありますから注意が必要です。
福岡県においても、福岡県青少年健全育成条例31条が「何人も、青少年に対し、いん行又はわいせつな行為をしてはならない」と定めています。
違反した場合の罰則は、2年以下の懲役または100万円以下の罰金です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見、無料法律相談の予約を受け付けております。
教師による淫行
教師による淫行
【事件】
福岡県糸島市に住むAさんは,近所にある高校の高校教師です。
Aさんはかねてより教え子である高校生Vさん(当時17歳)と恋愛関係にありました。
AさんとVさんは月に数回デートをし,双方合意の上,Aさんの自宅やホテルで性交渉に及んだこともあります。
ある日,Vさんが自宅でAさんとのSNSに夢中になっていることを父親に咎められ口論となった結果,Aさんとの関係がVさんの父親に露見してしまいました。
激怒したVさんの父親は福岡県糸島警察署に告訴し,Aさんを福岡県青少年健全育成条例違反(淫行)の被疑者として捜査が開始されました。
(フィクションです)
【淫行条例】
淫行条例とは,地方自治体の定める青少年保護育成条例の中にある青少年との「淫行」「みだらな性行為」「わいせつな行為」「みだらな性交」また「前項の行為(=「淫行」など)を教え・見せる行為」などを規制する条文の通称です。
福岡県では,福岡県青少年健全育成条例第31条が淫行条例に当たります。
条文は以下のようになっています。
何人も,青少年に対し,いん行又はわいせつな行為をしてはならない。(第1項)
何人も,青少年に対し,前項の行為を教え,又は見せてはならない。(第2項)
第1項の規定に違反した場合は2年以下の懲役または100万円以下の罰金に,第2項の規定に違反した場合は1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます。
ここでいう青少年とは,18歳未満であって,他の法令によって成年者と同一の能力を有する者(例えば婚姻関係にある者)以外の者を意味します。
淫行について,判例(最大判昭和60・10・23刑集39巻6号413頁)によれば「広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきでなく,青少年を誘惑し,威迫し,欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか,青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為」を意味するものとされています。
また,同判例によれば「例えば婚約中の青少年又はこれに準ずる真摯な交際関係にある青少年との間で行われる性行為等」は「社会通念上およそ処罰の対象として考え難い」ものであり淫行にはあたらないとしています。
したがって,淫行条例で処罰される淫行とは,青少年に対する性行為一般を意味するものではなく,結婚を前提にした真摯な交際における性行為であれば淫行に当たらないこととなります。
では,真摯な交際があったことはどのようにして判断されるのでしょうか。
一般には,具体的な基準があってその基準をクリアした場合に真摯な交際があったと認められるものではなく,本人の年齢,交際や性交に至るまでの経緯・期間,交際の態様,性交の頻度,結婚の約束などの様々な事情を総合的に考慮して淫行にあたるかどうかが判断されます。
【児童福祉法違反】
事案によっては,青少年との性交渉について,淫行条例によって処罰されなくても他の法律により処罰される可能性があります。
その一つが児童福祉法です。
児童福祉法第34条第1項第6号は、児童に淫行をさせることを禁止しており,これに違反すると10年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又は懲役と罰金の併科に処せられるものとしています。
児童福祉法における「淫行をさせる行為」とは、児童に対して事実上の影響力を行使して淫行に至った場合を指すとされています。
淫行を「させる」ことが処罰対象となりますが,自身が児童との淫行の対象になった場合も「淫行をさせる」場合に含まれます。
この法令の適用が考えられるケースには,教師がその影響力を背景に教え子である児童に性交渉を迫った場合や,親が子に影響力を行使して性関係をもった場合などが挙げられます。
Aさんの事件の場合,Vさんとの関係の背景にどれほどまでの教師としての影響力があったか定かでなく,二人の交際の期間や経緯などいずれも不明です。
しかし,二人とも恋愛感情を抱いており,性交渉に及ぶ場合にも合意があったことなどを見ると,福岡県青少年健全育成条例が処罰から外している真摯な交際関係にあったと主張することも不可能ではありません。
ただ、そうした主張を通そうと思うと厳しい戦いになることが見込まれるため,一度弁護士に相談する方が得策でしょう。
上記の場合に限らず,淫行に関する事件では,被害者以上に被害者の両親の処罰感情が強い場合が多いです。
そのような場合,示談による解決を図ることは困難といえ,逮捕や起訴そして処罰に至る可能性が非常に高いです。
淫行条例違反の被疑者となってしまった場合,早期から適切な対処を行うことでこうした不利益をできる限り少なくすることが重要です。
淫行条例違反の被疑者になってしまったら,お早めに弁護士に相談することをおすすめします。
淫行条例違反の被疑者となってしまった方,福岡県糸島警察署から取調べを受けることになった方は,お早めに刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回法律相談:無料
18歳未満と知らずに淫行
18歳未満と知らずに淫行
~ケース~
Aさんは、SNSで知り合った、北海道札幌市在住の女性V(17歳)と実際に会うことになりました。
VはSNS上で「18歳女子大生」と自称しており、Aさんは安心しきっていました。
AさんはVと駅で待ち合わせ、ラブホテルに行き、Vと性交しました。
対価や金品などは与えていません。
後日、Vの親から連絡があり、「娘が性交したと言っているが、17歳の子と性交するとはどういうことか」と言われ、驚きました。
Aさんはできるだけ刑事事件化は回避したいと考えています。(フィクションです)
~北海道で青少年と性交するとどうなるか?~
北海道青少年健全育成条例第38条1項は、「何人も、青少年に対し、淫行又はわいせつな行為をしてはならない」としています。
「青少年」とは、18歳未満の者(婚姻により成年に達したものとみなされる者は除かれます)をいいます。
「淫行」に関連して、著明な判例である最高裁判所昭和60年10月23日判決は、当時の福岡県青少年保護育成条例第10条1項の「淫行」につき、
「広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきでなく、青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められないような性交又は性交類似行為をいうものと解するのが相当である」
と判示しており、北海道青少年健全育成条例第38条1項の「淫行」についてもあてはまる解釈と考えられます。
この定義から、婚約中の青少年や、婚約に準ずる真摯な交際関係にある青少年との性交は「淫行」に該当しない、ということになります。
もっとも、SNSでたまたま知り合い、駅で待ち合わせたあと、すぐにホテルに向かい、性交した、という場合には、「婚約に準ずる真摯な交際関係」と判断される可能性は極めて低いでしょう。
「淫行」の該当性を争うことは、とてもハードルが高いということになります。
北海道青少年健全育成条例第38条1項に違反し、有罪が確定すると、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます(北海道青少年健全育成条例第57条)。
~AさんがVの年齢を知らなかったという点について~
北海道青少年健全育成条例第65条によると、青少年に淫行又はわいせつな行為をした者が、当該青少年の年齢を知らなかったことを理由として処罰を免れることはできません。
年齢を知らないことに過失がなかった場合は、処罰を免れることができますが、「過失がなかった」というためには、青少年本人から免許証を見せてもらう、親族に問い合わせるなどの手段を尽くしたと認められることが必要です。
上記の様な手段を尽くしたと評価される事件は極めて稀でしょう。
したがって、北海道において、実年齢を知らずに青少年と性交してしまった場合、過失がなかったことを理由に処罰を免れることは難しいことが見込まれます。
AさんがVを18歳と考えていた根拠は、SNSにおけるVの書き込みを信じてしまった、というものに過ぎないので、この点につき「過失がなかった」と主張することは難しいでしょう。
~弁護士と相談し、刑事事件化を回避~
まずは弁護士と相談し、V(実際にはVの親)との示談交渉を依頼することをおすすめします。
示談が成立すれば、Vの親が被害届を出さない、出された場合においては、当事者間で事件が解決しているものとして、不起訴(起訴猶予)を獲得できる可能性が高まる、などのメリットを受けることができます。
示談交渉自体はAさん本人でも可能ですが、そもそも会ってくれないという可能性も考えられますし、却って事態を悪化させたり、不当な示談金を要求されたりする可能性もあります。
示談交渉の最初から、法律の専門家である弁護士を介して示談交渉を行うと、法律的に効力のある示談の成立に向けた交渉ができることはもちろん、不当な要求を回避できるなど、多くのメリットがあります。
是非、弁護士を通じた示談交渉をご検討ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所であり、ケースのような淫行事件の解決実績も豊富です。
北海道で淫行事件を起こしてしまいお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回法律相談:無料
妹に援助交際に応じさせて児童買春周旋罪
妹に援助交際に応じさせて児童買春周旋罪
東京都中央区に住む自称スカウト業のAさん(20歳)は、出会い系サイトで援助交際を求める女子高生(サイト上は17歳)になりすまし、妹のBさん(16歳)やその同級生のCさん(16歳)を、援助交際を求める男性(以下、被周旋者といいます)と引き合わせていました。そして、Aさんは、BさんがCさんが援助交際(具体的には児童買春)で得た金の8割を手に入れていました。そうしたところ、Cさんが街頭で警視庁久松警察署の警察官に補導されたことをきっかけに、Aさんは児童買春周旋の罪で逮捕されてしまいました(その後、児童買春をした男性も逮捕されました)。
~ 児童買春周旋の罪 ~
児童買春周旋の罪は,児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下、法律といいます)第5条に定めがあります。法律5条1項は通常の周旋の罪を、法律5条2項は「業として」周旋をした場合の罪を規定しています。
法律5条1項
児童買春の周旋をした者は,5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し,又はこれを併科する。
法律5条2項
児童買春の周旋をすることを業として者は、7年以下の懲役及び1000万円以下の罰金に処する。
「児童買春」とは、被周旋者が、対償を供与し、または対償の供与の約束をして、児童(18歳未満の者)に対し、性交等をすることをいいます。対償の供与やその約束の相手方は、児童のみならず、本件のように
児童買春を周旋した者(Aさん)
も含まれます。
「周旋」とは、被周旋者と児童との間に立って、児童買春が行われることを仲介することをいいます。
「業として」とは、社会生活上、反復継続する意思のもとで行われた場合をいいます。証拠関係から「意思」があると認められれば、たとえ、立件された事実が1回の周旋行為であっても「業として」とされることがあります(典型的には、児童買春の会員制クラブのようなものを作って利益を上げるような場合が該当します)。法律5条2項は、懲役刑と罰金刑の双方が必ず科されるなど、刑の重さが法律5条1項より重くなっていることがわかります。
* いん行をさせる罪 *
さらに、Aさんは、児童福祉法違反に問われる可能性はあります。
児童福祉法には禁止行為として「児童に淫行をさせる行為」を規定しており、禁止行為に違反した場合は「10年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金,又は併科」とされています。
この場合、「淫行をさせる行為」に当たるか否かが問題となりますが、「させる」の意義については「事実上の影響力を及ぼして児童が淫行をすることを助長し促進する行為」と解するのが判例です。
~ 被周旋者が児童と分かっていなければ・・・ ~
周旋の罪が成立するには、基本的に、周旋者(Aさん)が、相手方を児童と認識していなければ成立しません(ただし、「児童を使用する者」は、過失がないほかは、児童の年齢を知らないことを理由に処罰を免れることはできません)
では、被周旋者が相手方を児童であると認識していなかった場合はどうでしょうか?
この点については、
被周旋者が相手方を児童、つまり、18歳未満の者と認識していなければ成立しない
と考えられています。これは、児童買春周旋罪が、児童買春を拡大・助長するものとして厳しく処罰するとされていること、実質的にみても、被周旋者が18歳未満と認識しながら性交・淫行に及んだ場合とそうでない場合とでは悪質性が異なることが理由として挙げられています。
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児童買春から強制性交へ
児童買春から強制性交へ
東京都中央区に住むAさん。
SNSで知り合った16歳の少女とホテルに入り、お金を渡して口淫をしてもらうことにしました。
行為の最中、興奮したAさんは、
「本番(膣性交)はダメ?追加でお金払うからさ。」
と聞きました。
少女は拒否しましたが、Aさんは強引に性交に及び、帰り際に追加のお金を渡して帰りました。
後日、少女が補導されたことをきっかけとしてAさんの犯行が発覚。
Aさんは警視庁月島警察署の警察官によって逮捕されました。
(フィクションです)
~まずは児童買春の罪が成立~
Aさんが18歳未満の少女にお金を渡して口淫してもらった行為は、児童買春禁止法違反に当たると考えられます。
児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律
第2条1項
この法律において「児童」とは、十八歳に満たない者をいう。
第2項
この法律において「児童買春」とは、次の各号に掲げる者に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう。以下同じ。)をすることをいう。
1号 児童
2号以下 省略
口淫も2条2項の「性交類似行為」として「性交等」に含まれるため、金銭の支払い等を伴えば児童買春に該当するでしょう。
児童買春の罰則は以下の通りです。
第4条 児童買春をした者は、五年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
なお、18歳未満だとは全く知らなかった場合には故意(刑法38条1項参照)が認められず罪になりません。
しかし、明らかに相手方が18歳未満だと確信していた場合のみならず、「もしかすると18歳未満かもしれない」と思っていた程度でも故意は認められる余地があります。
ですので、児童買春の故意を否認して無罪を獲得するのは容易ではないと言えるでしょう。
~強制性交等罪も成立~
Aさんはここでやめておけば、あるいは少女の同意を得て性交に及んでいれば、児童買春の罪だけで終わっていました。
しかし口淫の同意しかしていない少女に対し、強引に性交に及んだことから、さらに強制性交等罪が成立する可能性があります。
刑法第177条
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
強制性交等罪は、被害者の反抗を著しく困難にする程度の「暴行又は脅迫」を用いて性交した場合に成立します。
密室で助けを呼びづらい状況であったことや、男女の体力差があること、反抗すれば何をされるかわからないという恐怖心から反抗しづらい場合も多いことなどを考えると、あからさまな殴る蹴るの暴行などをしなくても、反抗が著しく困難だったとして強制性交等罪が成立することも十分考えられます。
なお、強制性交等罪の成立条件を満たせばその時点で罪が成立するので、性交後にお金を渡したからといって、強制性交等罪が成立しなくなるわけではありません。
~示談の重要性~
被疑者を刑事裁判にかけるか(起訴)、かけないか(不起訴)の判断をするのは検察官です。
しかし、刑事裁判となると被害者も法廷で証言したりなど、大きな負担を強いられる可能性があります。
そのような負担をするくらいなら、加害者と示談して損害賠償と同等かそれ以上の示談金を受け取り、事件を終結させた方が良いと考える被害者の方もいらっしゃいます。
そうした事情を考慮し、検察官は示談の締結を理由に事件を不起訴にすることがあります。
そこで、すみやかに被害者と示談を締結し、その示談書の中に、被害者は加害者の処罰を求めない旨の文言(宥恕条項-ゆうじょじょうこう)を入れていただくことが考えられます。
このような示談書を検察官に提出すると、検察官としても被害者が裁判にしたくないのに無理に裁判にすることは出来ないと考え、不起訴処分とする可能性が出てくるのです。
不起訴となれば事件の捜査は終了し、釈放され、前科も付きません。
ちなみに、児童買春については、社会秩序を害する面が強いことから示談の効力が薄まる傾向にあります。
ただ、不起訴の可能性もゼロではありませんし、仮に不起訴にならなかったとしても刑が減軽される可能性はあります。
ですので、示談も決して無駄にはならないと言えるでしょう。
以上から分かるように、児童買春についても強制性交等罪についても、被害者またはその保護者との示談交渉が有力な弁護活動の一つであることはたしかです。
やはり弁護士が介入すれば示談交渉が円滑に進む可能性は高まるので、示談をご検討であれば一度お近くの弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
仮に逮捕されていなければ、事務所での法律相談を初回無料でお受けいただけます。
接見や法律相談では、今回どういった罪が成立するのか、今後の刑事手続きの流れなどの説明や、取調べにどう受け答えしたらよいかといったアドバイスをさせていただきます。
その後、正式にご依頼いただければ、示談交渉を含めた刑事弁護活動を行います。
児童買春や強制性交等罪などで逮捕された、捜査を受けた場合には、ぜひ一度ご相談ください。
福祉職職員による性犯罪
福祉職職員による性犯罪
東京都三鷹市のこども総合相談センターに勤務していたケースワーカーのAさんは、今年の2月中旬頃、センターの室内で、センターに一時保護されていたVさん(当時14歳)に対しわいせつな行為をしたとして、東京都青少年健全育成条例違反の疑いで警視庁三鷹警察署に逮捕されてしまいました。VさんがAさんから繰り返しわいせつ行為を受けたため、通学先の教諭などに相談。学校が三鷹警察署に通報し、本件が発覚したとのことです。逮捕の通知を受けたAさんの母親は、今後の見通しなどを知りたくて刑事事件専門の弁護士に初回接見を依頼しました。
(事実を基に作成したフィクションです。)
~ 福祉職職員による性犯罪 ~
福祉職職員による性犯罪が全国で相次いでいるようです。
北海道では、昨年1月、児童養護施設の男性職員が、入所中の女子児童3人に性的虐待を繰り返していたことが発覚。その後、男性職員は強制わいせつ罪などで起訴され、裁判で懲役4年6月の実刑判決を受けています。佐賀県でも、3年前、児童養護施設の元男性職員が施設内で男子児童の体などを触るなどして強制わいせつ罪で実刑判決を受けています。
また、今年2月6日には、福祉施設非常勤職員が、長崎県大村市内の福祉施設で女性入所者にわいせつな行為をしたとして準強制わいせつ罪で逮捕され、6月17日には、児童養護施設の男性職員が、今年3月に、福岡県内のホテルで男子中学生に対してわいせつな行為をしたとして児童福祉法違反(児童に淫行させる罪)で逮捕され、7月2日には、ケースワーカーの男性が、今年2月、福岡市内のこども総合相談センターの室内で14歳の女子中学生にわいせつな行為をしたとして福岡県青少年健全育成条例違反で逮捕されています。
~ 強制わいせつ罪、児童に淫行させる罪 ~
ここで、上記で出てきた性犯罪をご紹介いたします。
= 強制わいせつ罪 =
本罪は刑法176条に規定されている罪です。
暴行、あるいは脅迫を用いてわいせつな行為をした場合に成立します。なお、相手方が13歳未満の者である場合は、暴行、脅迫は不要とされています。
法定刑は、6月以上10年以下の懲役です。
= 準強制わいせつ罪 =
本罪は刑法178条に規定されている罪です。
人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした場合に成立する罪です。
人が寝ている間にわいせつな行為を行った場合、心理的・物理的に抵抗することが困難な状態を作りだした上でわいせつな行為を行った場合などは本罪が成立するでしょう。
法定刑は、6月以上10年以下の懲役です。
= 児童に淫行させる罪 =
児童福祉法34条6号では、「児童に淫行をさせる行為」を「禁止行為」としており、同法60条1項で、これに違反した者を
10年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金、又は併科
とするとしています。ちなみに、「させる行為」とありますが、暴行や脅迫を手段とすることを要せず、児童をして淫行をさせる行為のみならず、児童に事実上の影響力を及ぼしている状態で自ら淫行した場合もこの「させる行為」に当たるとされています。実務上は、学校の教員が生徒とわいせつな行為に及んだ場合に適用されることが多くあります。また、「淫行」とは性交のみならず、口腔性交、肛門性交などの性交類似行為を含みます。
なお、児童福祉法でいう「児童」とは18歳未満の者をいいます。
= 青少年に対する淫行、わいせつな行為をする罪 =
本罪は、各都道府県の青少年健全育成条例で規定されており、法定刑は
2年以下の懲役又は100万円以下の罰金
とされていることが多いのではないでしょうか?基本的には相手方が18歳未満の者(青少年)という認識がなくても犯罪が成立し、過失がない(無過失)ときに限り処罰しないという規定が設けられているかと思います。無過失と認定されるケースとしては、相手方から生年月日を偽造した身分証を呈示された場合などが考えられるでしょう。
なお、「淫行」とは、広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきではなく,青少年を誘惑し,威迫し,欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか,青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性行為類似行為を、「わいせつな行為」とは、行為者又はその他の者の性欲を刺激興奮又は満足させる行為であって,普通人の正常な性的羞恥心を害し善良な性的道義観念に反するものをいう、とされています。
~ ケースワーカー ~
ケースワーカーは、児相相談所や老人福祉施設などで、困っている人の相談役として活躍する人で、ケースワーカーになるには社会福祉主事という資格を得る必要があります。
社会福祉主事は社会福祉士の資格を得た者も任用することができるとされています。
仮に、犯罪を犯したケースワーカーが社会福祉士の方であれば、社会福祉法の適用を受けるでしょうし、地方公務員として働いている方であれば地方公務員法の適用を受け、資格をはく奪されたり、懲戒の処分を受けたりするおそれがあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、性犯罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。性犯罪でお悩みの方、ご家族が性犯罪で逮捕されお困りの方などは、お気軽に弊所の弁護士にご相談ください。弊所では、24時間、専門のスタッフが無料法律相談、初回接見のご予約を電話で受け付けております。
着用済み下着買受けの罪で取調べ
着用済み下着買受けの罪で取調べ
~ケース~
Aさんは、SNS上で着用済み下着の購入を募る投稿を見つけたので、投稿主に問い合わせたところ、相手は16歳の女子高生Vさんであることがわかりました。
交渉の結果、神奈川県横浜市西区にて3万円で着用済み下着3着を買い受けることになり、支払のあと、これを受領しました。
Vさんの親は、娘がアルバイトをしているわけでもないのにたくさんのお金を持っていることを不審がり、問い詰めたところ、着用済み下着を売ってお金を得ていることを知りました。
Vさんの親が神奈川県戸部警察署に届け出たところ、Aさんは警察に呼び出され、取調べを受けることになりました。(フィクションです)
~女子高生から着用済み下着を買い受けるとどうなるか?~
各都道府県が制定する「青少年健全育成条例」違反の罪が成立する可能性が高いと思われます。
地域によっては「青少年保護育成条例」など名称が若干異なりますが、条例の大まかな内容は基本的に同じです。
神奈川県でも「神奈川県青少年保護育成条例」が存在し、着用済み下着買受けについて以下のとおり規制されています。
神奈川県青少年保護育成条例
第29条
何人も、青少年から着用済み下着等(青少年が一度着用した下着又は青少年のだ液若しくはふん尿をいい、青少年がこれらに該当すると称した下着、だ液又はふん尿を含む。以下この条において同じ。)を買い受け、売却の委託を受け、又は着用済み下着等の売却の相手方を青少年に紹介してはならない。
この条文にあるとおり、神奈川県においては、青少年(18歳未満の者)から青少年の着用済み下着またはそう称される下着を買い受けることが禁止されています。
上記の条例は神奈川県のものですが、着用済み下着の買受けについては、他の自治体においても広く禁止されています。
罰則は30万円以下の罰金なので、さほど重いものではないとして軽視される方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、起訴されて有罪判決を受けると前科が付くことになり、社会生活に悪影響をもたらす(勤務先から懲戒を受ける、転職の際に不利になる可能性)ことが考えられます。
そのため、お金を払えばそれでいいと楽観視すべきではないと言えるでしょう。
~Aさんは今後どうなるか?~
警察で取調べを受けたあと、検察に事件が送検され、検察官がAさんを起訴するか、あるいは不起訴にするかを決めることになります。
ところで、今回のケースにおいては、警察に呼び出されたことから逮捕される可能性が気になるのではないかと思います。
逮捕にはいくつか種類がありますが、事件を起こしたあとで警察に呼び出されて行われるものとしては、「通常逮捕」が考えられます。
「通常逮捕」は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由(嫌疑の相当性)がある場合に、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により行うことができます。
ただし、明らかに逮捕の必要性(主に罪証隠滅と逃亡のおそれがあること)がない場合は、逮捕状は出ません。
日本の刑事手続は、相手方の同意のもと行う任意捜査が原則形態ですから、逮捕のような強制力を持つ強制捜査は例外的なものとして制限されているのです。
着用済み下着買受けの罪については、事件の性質上、逮捕される可能性が低いと考えて差し支えありません。
理由としては、罰則がさほど重くない、下着の売主である青少年との関係が薄い、などの事情から、逃亡や証拠隠滅をする可能性が高くないと評価されやすいからだと考えられます。
もっとも、具体的な事情いかんによっては、逃亡や証拠隠滅のおそれがあるとして逮捕される可能性がないとはいいきれません。
たとえば、取調べで合理的な理由なく否認している場合、着用済み下着の売主に口止めを行っていることが認められる場合、SNSなどにおける売主とのやり取りを削除した場合、などが危険です。
こうした行為を不用意に行うと、自ら逮捕されるリスクを高めてしまうということになりかねません。
まずは、弁護士と相談し、取調べに先立ち、どのように行動すれば自身にとって不利にならないか、ということについて助言を受けることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
法律相談は初回無料で行っております。
青少年から着用済み下着を買い受け、警察に呼び出されてしまった方は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
児童ポルノ製造罪で書類送検
児童ポルノ製造罪で書類送検
埼玉県川口市に住むAさん(20歳)は、援助交際を希望していた女子高生のVさん(16歳)の裸の写真をスマートフォンで撮影したとして、児童ポルノ製造の罪で埼玉県武南警察署に事情を聴かれ、その後、事件を検察庁に書類送検されました。Aさんとしては、Vさんの同意・承諾もあったことから問題ないと考えていました。AさんとAさんの両親は、今後の対応について援助交際に関する犯罪について詳しい弁護士に無料法律相談を申込みました。
(フィクションです)
~ 児童ポルノ製造の罪 ~
児童ポルノ製造の罪は「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」(以下「法律」という)の7条3項、4項、5項、7項に規定されています。Aさんの行為は、法律7条4項の製造罪に該当しそうです。罰則は3年以下の懲役又は300万円以下の罰金です。
なお、児童ポルノ製造の罪は、児童ポルノの製造行為が児童の心身に有害な影響を与える性的搾取行為にほかならず、流通の危険もあることから処罰の対象とされるものです。よって、たとえ児童が児童ポルノの製造につき同意・承諾していたとしても児童の心身に害悪を及ぼすことに変わりはないですし、児童ポルノの流通の危険も以前として存在します。また、児童の判断能力はまだまだ未熟ですから、そもそも有効な同意・承諾があったか疑問が残るところです。
よって、一応の児童の同意・承諾があっても
児童ポルノ製造の罪は成立する
と解されています。もっとも、製造者(Aさん)と児童(Vさん)との関係、児童の同意・承諾の有無、その経緯等に鑑みて、違法性が認められないなどの理由から犯罪が成立しない場合は考えられます。
~ 書類送検とは? ~
よくニュースなどで耳にする「書類送検」は法律上の用語ではありません。
しかし、送検(又は送致ともいいます)については、法律に根拠規定があります。
刑事訴訟法246条には、
司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、(省略)、速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない
と規定されており、これがいわゆる書類送検の根拠となる規定です。
書類送検と言われる場合は、在宅のまま(つまり、身柄を拘束されないまま)捜査が続けられていることを意味します。
しかし、だからと言って、刑事処分がなくなったり、軽くなるわけではありません。
~ 書類送検後の流れ ~
書類送検後は、検察庁から取調べのための呼び出しを受けます。呼び出しの時期は決まっているわけではありません。呼び出しをする検察官は、あなたの事件以外にも多くの事件を抱えています。それらの事件と並行しながら呼び出しをしますから、検察官の都合によって送検から早くて1週間、場合によっては数か月ほどかかることもあります。書類送検の時期が分からないときは、選任している私選の弁護士(在宅の場合は国選弁護士は選任できません)か自ら担当の刑事に尋ねましょう。
検察庁での取り調べ回数も決められているわけではありません。検察官の判断しだいということになります。そして、検察官の捜査(取調べ等)を受けた上で、最終的な刑事処分(起訴か不起訴か)が決められます。そこで、不起訴処分を目指す場合は、検察官が刑事処分を決める前までに被害者と示談をさせるなどしてその結果を検察官に提出する必要があります。
仮に、略式起訴されることになった場合は
略式裁判にかかる同意書
にサインを求められます。ただ、ここでサインするかどうかはあなたの判断に委ねられます。たとえば、
示談交渉中でその結果を待ってほしい
などという場合は、検察官にその旨伝えてサインを留保すること、あるいはサインを拒否することも当然可能です。
正式裁判を受ける必要がある場合は、後日、裁判所から起訴状などの書類が送られてきますからそれに応じましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずは、0120-631-881までお気軽にお電話ください。24時間体制で、無料法律相談・初回接見の予約を受け付けております。
児童買春と自首・出頭
児童買春と自首・出頭
大阪府大阪市此花区に住むAさん(21歳)は、SNSで知り合ったV(16歳)さんが18歳未満の少女であると知りながら、ホテルでVさんに現金5万円を渡し、Vさんと性交しました。ところが、Aさんは、後で自分のしたことを後悔し、警察にいつ児童買春や淫行で逮捕されるのか不安で眠れない夜を過ごしています。そこで、Aさんは、自分から警察に出頭(自首)しようかと考えていますが、被害者と連絡が取れなくなった今、そのメリットがあるのかどうか弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)
~ 児童買春の罪とは ~
児童買春の罪は「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下、法律)」に規定されています。
法律2条2項では、「児童買春」を
児童等に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童等に対し、性交等をすること
と定義しています。ここで性交等とは、性交のほか性交類似行為、又は自己の性的好奇心を満たす目的で児童の性器等を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいいます。
そして、法律4条では
児童買春をした者は、5年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。
と規定しています。
これからするとAさんの行為は児童買春の罪に当たる可能性が高いでしょう。
~ 出頭=自首になるとは限らない ~
次に、自首についてご説明いたします。
自首とは、
①捜査機関に犯罪事実又は犯人が発覚する前に、
②犯人が自ら進んで自己の犯罪事実を捜査機関に申告し、
③その処分を委ねる意思表示
のことをいうとされています。
この要件を満たさない場合は「自首」として認めてもらえません。つまり、あなたが警察署に出頭した時点で、児童が補導されるなどして、あなたが児童買春の罪の犯人だということが警察に発覚していれば①の要件を満たさず「自首」ではなく、単なる「出頭」扱いとなるわけです。
* 自首の法律上の効果 *
自首が成立した場合の法律上の効果は、
刑が減軽されることがある
ことでしょう。ただし、刑を減軽するかどうかは裁判官の裁量、判断に任せられています。仮に、減軽されることになれば、児童買春の罪では「5年以下の懲役」が「2年6月以下の懲役」に、罰金刑であれば「300万円以下の罰金」が「150万円以下の罰金」にまで減軽され、本来の下限より軽い刑となる可能性が出てきます。
~ 自首の事実上の効果 ~
自首が成立した場合の事実上の効果、あるいは「出頭」扱いとなった場合の効果としては以下が考えられます。
・逮捕のリスクが減る(在宅のまま処理される)
・量刑で有利となる
そして、逮捕のリスクが減ることで
・仕事や勉強に集中できる
・会社や学校をやめずに済む
・試験などの重要な用事をこなせる
といったメリットがありえます。また、自首することは、反省の態度を示すことに繋がり、量刑の面で有利となり得ます。つまり、
・本来、懲役刑のところを罰金刑
なとという量刑となり得ることも考えられます。
~ 児童買春の罪に問われるかどうかは相手方と連絡がとれるか否か ~
ところで、児童買春の場合、自首・出頭しても捜査機関はその時点では被害者の人定(氏名、年齢等)を把握できていませんから、あなたが自首・出頭した時点から被害者の人定に関する捜査を始めることになります。しかし、被害者の個人情報を一番知っているはずであろうあなた自身が被害者の個人情報を知らなければ、捜査機関は被害者と連絡を取すことすらできず、被害者の人定を把握することは基本的には困難かと思います。そうした場合は、被害者を18歳未満の児童であると証明することは困難ですので、
事件が立件されることはない
でしょう。
しかし、あなたが被害者の個人情報を知らなければそれで安心というわけではありません。たとえば、
・たまたま被害者が別の件で補導された
・保護者が警察に相談した
などという場合は、被害者の人定を特定することが可能ですから、
立件される可能性は残されている
といえるでしょう。
自首・出頭する際はこうした事情も踏まえてベストな選択をすることが肝要です。
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淫行事件で時効
淫行事件で時効
兵庫県神戸市中央区在住のAさん(40代男性)は、過去7,8年の間に、インターネット上で知り合った複数の18歳未満の女性と実際に出会い、わいせつ行為や児童買春行為をした。
最近になって、兵庫県生田警察署の警察官がAさんの自宅に来て、過去の児童わいせつ事件の1件につき被害届が出ていると言われ、生田警察署に任意同行して、青少年健全育成条例違反(淫行)の疑いで取調べを受けた。
警察の取調べの際に、自分の携帯電話とパソコンを押収されたAさんは、携帯電話やパソコンの履歴から、他の過去の複数の児童わいせつ事件や児童買春事件についても、警察に発覚するのではないかと考えて、今後も続く警察の取調べにおいて、どのように供述するべきかを検討するために、刑事事件に強い弁護士に法律相談することにした。
弁護士と法律相談した結果、Aさんの過去の事件の中には、公訴時効にかかるものも複数件、存在することが判明した。
(事実を基にしたフィクションです)
~援交・淫行トラブルの公訴時効とは~
援助交際や児童買春などが行われた後に、警察に発覚することなく数か月や数年の長い時間が経ってから、被害者が警察に性被害を相談したり、被害児童が警察に補導されたり、といった経緯で、刑事事件として表面化するケースがあります。
過去の援助交際や児童買春のことを忘れて普段通りに過ごしていると、ある日、突然に警察官が自宅に来て、家宅捜索をしてパソコンや携帯電話の履歴を押収し、被疑者本人は逮捕されて、身柄拘束の上で厳しい取調べを受ける、といったケースも考えられます。
昨今の援交・淫行事件においては、パソコンや携帯電話の履歴に出会うまでのやり取りが残っている事例が多く、ここから警察が援交・淫行事件のことを知れば、被疑者の取調べ呼び出しがあったり、最悪の場合には突然の逮捕の可能性もあります。
ただし、刑事事件として捜査を続けたり、刑事処罰を科すためには、捜査機関の側は、公訴時効の期限が来るまでの期間内に、事件を起訴する必要があります。
公訴時効を過ぎれば、捜査機関が、刑事事件の捜査や起訴をすることはできなくなります。
援交・淫行事件の公訴時効は、該当する罪の法定刑の長さに応じて、以下の例のように、刑事訴訟法に定められています。
・強制性交等罪
(法定刑)5年以上の有期懲役→ (時効)10年
・強制わいせつ罪
(法定刑)6月以上10年以下の懲役→ (時効)7年
・児童買春罪
(法定刑)5年以下の懲役又は300万円以下の罰金→ (時効)5年
・青少年健全育成条例違反の児童わいせつ罪
都道府県の条例に応じて、(法定刑)2年以下の懲役又は100万円以下の罰金
または、(法定刑)1年以下の懲役又は50万円以下の罰金→ (時効)3年
公訴時効の起算点は、原則として「犯罪行為が終わったとき」であり、そこから公訴時効の期間が過ぎれば、刑事事件としての捜査や刑事処罰を受けることはなくなります。
例えば、過去に複数の児童わいせつ事件や、複数の児童買春事件を起こして、それらの行為に警察の捜査が入った場合に、過去のどの時点までの行為が公訴時効にかかっているかという事情は、その後の弁護活動に大きく影響します。
青少年健全育成条例違反事件で刑事弁護の依頼を受けた弁護士は、過去に複数の援交・淫行事件を起こしている事情があれば、公訴時効を経過しているかどうかの事情も検討した上で、これから刑事訴追を受ける可能性のある事件につき、被害者との示談交渉などの弁護活動を、迅速に行います。
兵庫県神戸市中央区の青少年健全育成条例違反事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。
初回法律相談:無料
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